免税範囲を決定 国内調達VAT問題で
PEZAがCREATE MOREの詳細を説明。「VATゼロレート適用対象はPEZAなど投資誘致機関が決定」
11日に成立した企業復興税優遇措置法改正法(CREATE MORE)の内容についてフィリピン経済区庁(PEZA)は19日までにまにら新聞の質問状に回答し、懸案となっている各経済特区からの国内調達に関する付加価値税(VAT)のゼロレート適用対象範囲について、「PEZAをはじめとした投資誘致機関(IPA)が判断権を有する」と説明した。同内容は、フィリピン日本商工会議所(JCCIPI)が5月に上院委員会に提出した要望書に含まれていた。
PEZAは回答の中で、「CREATE MOREの目的の一つは、内国歳入庁(BIR)が発出したCREATE法の趣意と条文に沿わない規則によって引き起こされた、あいまいさに対応することだ」として、BIRを批判。22年2月のBIR通達24号などにより無効化が宣言されていた、経済特区を税制上の外国とみなして税を課さない「クロスボーダードクトリン」および分離関税区(SCT)については、「旧CREATE法の施行後も決して無効化されていないというのがPEZAの立場だ」とし、「(政府系企業の法律業務を担う司法省傘下の)公社法律顧問事務所(OGCC)からもこの立場は支持されている」と説明。さらに、1995年の特別経済区法8条の「経済特区は分離関税区としてPEZAにより運営・経営される」という条文を引き、「この条文は旧CREATE法およびCREATE MOREによって撤回されていない」とした。
国内調達に関するVATゼロレートの適用範囲について、「CREATE MORE法の下では、登録プロジェクトまたは登録企業の活動に『直接帰属できる』製品・サービスに適用される。『直接かつ排他的に使用される』ものに限定していた改正前に比べて適用対象が拡大した」と説明。「改正法によって、2023年のBIR歳入通達3号でVATゼロレートの対象となる製品・サービスから除外されていた、清掃、警備、金融、コンサルタント、マーケティング・広告、人事・法律・会計など管理に関するサービスについてもゼロレートの適用対象に含まれる」とし、法改正による同通達の無効化を宣言。さらに、「どの製品・サービスが登録プロジェクトや登録企業の活動に『直接帰属できる』製品・サービスを何とするかの限定は、投資促進機関(IPA)が行う」とした。
またCREATE MOREで盛り込まれた新VATインセンティブについて、「(輸出先に税管轄権があるとする)仕向地原則に沿い、全ての輸出志向企業の国内調達に完全なVATゼロレートを適用する」と説明。さらに、「投資資本が150億ペソを超え輸入代替を行う企業、または、年間1億ドル以上の輸出を行う企業は高付加価値国内市場企業(HVーDME)として同VATインセンティブを利用できるとした。
また、BIRがこれまで様々な理由をつけて申請を拒絶してきたVATの還付手続きについては、必要書類を関連規則によってあらかじめ定められたもののみに限定し、納税企業にはBIRによる不利な決定への見直し請求の機会を与えるとの規定が盛り込まれたとした。(竹下友章)