「追加緩和が可能になった」 政策金利0.5%引き下げも
レクト財務相「9月インフレが1・9%に急落したことで、積極的な金融緩和が可能になった」
9月のインフレ率が過去4年4カ月で最も低い1・9%となったことを受け、レクト財務相は4日、「インフレ率が中銀・民間銀行の予想を超える勢いで急落したことで、中銀には積極的に金融緩和を行うことが可能になった」とする声明を発表した。中銀金融政策委員でもある同相は、これに先立つ9月27日、「今年残り2回ある金融政策で0・25%ずつ切り下げることで、さらに0・5%利下げすることも可能だ」と発言している。
一昨年来のインフレ高進を受け、中銀は22年5月から利上げに踏み切り、昨年10月から今年8月まで、比の政策金利(翌日物借入金利)は2007年7月以降最高の6・5%に6会合連続で据え置かれた。利上げは金融アクセスを制限するため投資や消費を抑制する副作用があるが、こうした状況下で、直近の2四半期は比経済の成長エンジンだったはずの家計消費が4%台に低迷した。それを受けて国際機関からの経済成長予測で下方修正が相次ぎ、6~7%という政府の成長目標が達成できるか疑問視され始めている。
レクト財務相は、「9月のインフレ率低下で通年のインフレ率予想は3・2%にまで落ち着いた」と報告。その要因は自身が積極的に後押しした「コメ関税の引き下げにある」と強調。「コメの価格上昇率は前月の14・7%から5・7%まで低下した。これは過去1年で最も低い上昇率だ」とした。
▽さらなる物価下落の兆候
さらに、「インドが非バスマティ米の白米輸出を解禁した決定した」と報告。「小売業者が関税引き下げ前に輸入したコメの在庫を使い果たすにつれ、小売価格の下落は今後数カ月でさらに顕著になる」との見通しを示した。
農務省のデメサ報道官は5日、「非バスマティ世界で取引されているコメの4割を占め、インド米は他国のコメに比べ極めて安い」と強調。「これからのクリスマスシーズンに食料需要は高まるが、それでもコメ価格は下落するとみている」とし、具体的には「現在キロ40ペソ台のコメ価格が、今後数カ月でキロ30ペソ台に下がると予想している」と説明した。
レクト財務相はまた、9月26日に制定された農業経済妨害防止法(共和国法12022号)の食品インフレへの効果を説明。「同法は農産物のカルテル、買いだめを取り締まることを目的としており、財務省は関税局と協力して、国民が手頃な価格で食品にアクセスできる環境を守る」と請け負った。 政策金利を決定する中銀の金融政策決定会合は10月16日、12月19日に予定されている。(竹下友章)