5年で2650億円の増収 海外ネットサービス課税法成立
2025年から比でネットフリックスやアマゾンなどの海外オンラインサービスに課税へ
マルコス大統領は2日、「ネットフリックス」や「ディズニープラス」などの海外動画配信サービスや、「アマゾン」などのオンラインショップを含む海外オンラインサービスに、日本の消費税に当たる12%の付加価値税(VAT)を課す共和国法12023号に署名した。発効は来年から。これにより、政府は2025年~29年までの5カ年で1020億ペソ(約2655億円)の増収を見込む。
課税対象にはデジタルメディア、動画、音楽、広告、クラウドサービス、ノンバンクのデジタル金融サービスなど広範にわたり、グーグルやフェイスブックなども対象。家計にとっては、すでに浸透しているサブスクリプト型の配信サービスの値上げによって負担が増えそうだ。
ただし、教育省、高等教育委員会(CHED)、技術教育技能開発庁(TESDA)に認定された教育目的のオンラインセミナー、オンライン訓練などは課税対象外となる。
増収分の5%はクリエイティブ産業発展支援の財源に当てられ、残りは一般財源となる。マルコス大統領は署名にあたってのスピーチで「この増収で、4万2000教室、6000以上の地方診療所、農家と市場をつなぐ計7000キロの道路を建設できる」と強調。その一方で、「これは決して新税ではなく、国内デジタルサービスプロバイダーが払っているのと同じ税金を、海外企業にも払うようにするというだけだ」と説明した。
▽納税拒否ならアクセス遮断
3日の英字紙インクワイアラー(電子版)などによると、内国歳入庁(BIR)のルマギ長官は懸念される動画配信料金などの値上げについて、「それほど値上がりはしないと考えている」と発言。「VATが12%かかったからといって、事業者がそれを全部価格転嫁するとは限らない」とした。
物理的に比行政の管轄外に立地する海外企業(非居住者デジタルサービスプロバイダー)からどのように徴税するかについて、同長官は「法律を順守できなかった海外企業のウェブサイトやプラットフォームへのアクセスは情報通信技術省によって遮断され、罰金・追徴金が請求される」と説明。「アクセスが遮断されれば、比で得られたはずの売上を失う。これは海外サービスプロバイダーに比の法律を順守させるのに十分な効果があるはずだ」とした。
その上で、「シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイなどの国々ではすでに似たような制度を整えている。フィリピンは新たな課税方法について遅れをとっていた」と説明した。(竹下友章)