大統領補佐官「投資誘致機関の権限回復」 ポストSONAディスカッション
ゴー大統領補佐官「CREATE改正によりPEZAに優遇措置付与権限を戻し、VAT条項のあいまいさを無くす」
首都圏パサイ市で23日、大統領施政方針演説(SONA)を踏まえた施策を閣僚が議論する「ポストSONAディスカッション」が開幕した。初日の経済セッションで、経済閣僚トップであるフレデリック・ゴー投資・経済担当大統領補佐官は、「今上院で審議中の企業復興税制優遇法(CREATE)の改正法(CREATE・MORE)は政府優先法案の一つであり、上院からも強い支持が得られている」と報告した上で、「改正法の主な特徴は、投資誘致機関(IPA)にほとんどのインセンティブ申請を処理する権限の付与、現行法であいまいさのある間接税(VAT)に関する条項の明確化、VAT還付制度の明確化・合理化だ」と明言した。
マルコス大統領がSONAで、CREATE・MOREの制定に言及したことを受けての発言。日本政府やフィリピン日本商工会議所(JCCIPI)が繰り返し働きかけているVATに関する諸問題について、経済閣僚のトップが解決への強いコミットメントを示した。
2021年にCREATE法が施行されて以降、財務省傘下の税優遇措置再検討委員会(FIRB)に集約されていたインセンティブ付与権限が、比経済区庁(PEZA)など各IPAに戻される形となり、より企業の実情を理解するIPAへの権限返上を求めていたJCCIPIの要望に沿った内容となる。
また、VAT状況のあいまいさを巡っては、経済特区を税制上の外国とみなす分離関税地域(SCT)への指定が有効かどうかについて、内国歳入庁(BIR)とPEZA・訟務長官室で見解が対立する状況が続いている。SCT指定は、CREATE施行前は経済特区立地企業のVATを免税する「クロスボーダードクトリン」の根拠だった。レクト財務相は5月に「経済特区をSCTとする従前の認識に復帰する」と発言しており、クロスボーダードクトリンが復活すれば一昨年来、経済特区の物流系企業を対象にVAT納付が命令された問題が、法律レベルでの解決に向かう。
また、VATの還付を巡っては、法律上、輸出企業が国内調達に関して受けられるはずの還付をBIRは独自の法解釈を用いで手続き面で長年拒絶し、さらには申請企業に報復的な税務調査を実施しているとの問題が指摘されていた。VAT還付問題を巡っては昨年11月の首相訪問団からも比政府・議会に要請があり、JCCIPIも要望書を提出していた。(竹下友章)