VAT還付要望書を提出 比日商工会議所が財務省に
比日本商工会議所の下田会頭が財務省にVAT還付手続き問題の解決を求める要望書提出
フィリピン日本商工会議所の下田茂会頭=丸紅フィリピン社長=は25日付で、財務省に対し、輸出企業のVAT(間接税)の還付問題に関する要望書を提出した。比日本商工会議所によると、比へのミッションとして来比した日本商工会議所の小林健会頭が23日にマルコス大統領、パスクアル貿易産業相にそれぞれVAT還付問題について直接問題提起しており、VAT問題に比政府の関心が集まった機をとらえて正式に文書で要望を提出した。下田会頭自身も7月に大統領に面会した際、VAT問題に関し問題提起を行い、大統領から「修正提言があったら参考にしたい」と前向きな返答を受けていた。
ジョクノ財務相に宛てた要望書で下田会頭は「比の税法では、売上にゼロレートが適用される企業はインプット(仕入れ)VATの還付を申請することができるとある。経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに記されるような国際標準は、『仕向け地原則』に則っており、この原則に従えば、海外で消費される製品を生産する輸出企業はVATを免除され、輸出企業は仕入れの際に支払ったインプットVATの還付を受ける権利を持つ」と説明。
その上で、「しかし、比における多国籍輸出企業の間では、VATの還付を適切な時期に十分受けることもできないばかりか、部分的にさえ還付を受けることは事実上不可能であるとの認識が広がっている。この状況は産業をまたがり数十年間続いている」と問題点を指摘した。
日系輸出企業の還付申請に対する内国歳入庁(BIR)の対応については、「BIRは法令に明記されていない解釈を取り、一貫して還付を拒否してきた」と説明。こうした徴税当局の対応のため、大半の申請企業が「インプットVATを想定外の費用として負担することを余儀なくされている」とし「VAT還付を想定して比に進出した企業は、事業戦略の調整をせざるを得ず、予想外に増加した費用と格闘している」と窮状を訴えた。
さらに、「VAT還付手続き改革の動きが乏しい」ことの結果として、「日本の投資家にとっての投資先としての比の魅力に悪影響を与えてきた」と指摘。他の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と比べ、比は「外資の誘致に関し活発ではない」とした上で、「VAT還付が受けられないことによるコスト増は、比からの輸出品の価格競争力に悪影響を与える。追加的な投資をもたらしたはずの進出企業の事業拡大はいま危機的状況にある」と述べた。
こうした状況を踏まえ、ジョクノ財務相とBIRのルマギ長官に対し、「VAT還付申請の審査プロセスを慎重に見直し、この差し迫った懸念を最終的かつタイムリーに解決すること」を求めた。(竹下友章)