鉄道に30億ドル投資で合意 マレーシア訪問の大統領
大統領のマレーシア訪問で30億ドルの鉄道投資合意。計2.8億ドルの投資意思表明
大統領府は28日、マルコス大統領が国賓としてのマレーシア訪問を通じ、マレーシア鉄道大手ハルタスマ社から比複合企業メトロパシフィックインベストメント社に対する鉄道事業に関する30億ドルの投資合意を取り付けたと発表した。大統領府はその他に、マレーシアの複数企業から酪農、食品加工、電子政府化のためのデジタルプラットフォーム、航空、物流、上下水道整備など各分野で2億8500万ドルの投資意思表明を取り付けたと発表した。
比政府代表団はマレーシアの大手企業と個別に会合を持ち、5社と取引意向書(LOI)を締結。大統領府は投資が実現すれば、最大で国内に10万人の雇用が創出されると試算している。
LOIを締結した企業の中で最大の投資意向を表明したのは、マレーシアの乳製品製造大手ファームフレッシュベルハド社。新酪農場開発に約2億ドル投資し、2028年までに操業開始する計画だ。同社は現在、パンパンガ州で6千平方メートルの乳製品加工工場および2千頭の乳牛を飼育する酪農場を経営している。
訪問団に参加したパスクアル貿易産業相は「企業投資は長期的なものであり、綿密な調査・計画、法的手続きが必要だということを理解しなくてはならないが、締結したLOIは数カ月以内に具体化できると思う」との見通しを示した。
▽マハルリカにも関心
マルコス大統領は27日、今月設立が決まった比の政府系ファンド「マハルリカ・インベストメント・ファンド」への投資に複数人のマレーシア投資家が関心を示したことを明らかにした。
マレーシアでは2015年に同国の政府系ファンド「ワン・デベロップメント・ヘルハド」の資金流用が発覚し、元首相が収監されるなど大きな問題となった。マルコス大統領は「(その問題のため)同国の投資家は極めてマハルリカへの投資に慎重だった」としながら、「マハルリカはプロによって運営され、不当な政治的影響を受けない仕組みになっていることを投資家に保証した」と述べ、慎重な立場を取るマレーシア投資家たちに向けた説得の手応えを語った。(竹下友章)