RCEPが発効 輸出278億ドル増と予測
RCEP発で年間輸出額が4%上昇と予測。ASEAN6では比が最も遅れた
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2日、比でも発効した。比国内に立地する製造業者にとっては、原料・部品の輸入コストの低減効果が期待されているほか、パスクアル貿易産業相はRCEPによって輸出が278億ドル(約1兆5000億ペソ)増加し、年間輸出額が4%上昇するとの経済効果に関する予測を提示している。
比では上院で2月に批准が承認され、4月に東南アジア諸国連合(ASEAN)事務総長に批准書を寄託していた。主要6カ国のうち、シンガポール、タイ、ベトナムは22年1月、マレーシアは同年3月、インドネシアは今年1年に発効しており、ASEAN6では比が最も遅れた。
パスクアル氏は「RCEP発効により比企業は世界的なバリューチェーン(価値連鎖)に組み込まれ、他の14カ国と低関税、ゼロ関税で取引できるようになる」とし「特に国内の中小企業に国外パートナーとの貿易を拡大するよう呼びかけたい」と述べた。
比国内では他国からの安価な農産物流入による国内農業への影響が懸念されていたが、パスクアル氏は「農産物1718品目のうち、98・1%の特恵関税率が維持されている」と説明。「RCEPが発効したからといって急激に農産物輸入が増加することはない」とした。
RCEPはASEAN加盟諸国のほか日中韓や豪州、ニュージーランドなど15カ国が参加。世界の総生産、人口、貿易額の3割を占める。比を除く14カ国は、比にとって輸出の50・4%、輸入の67・3%、海外直接投資の58%を占めている。(竹下友章)