1日で上院委通過 最賃150ペソ引き上げ法案
全国の最低賃金を一律150ペソ引き上げる上院法案が労働委員会で承認された
上院の労働委員会(ジンゴイ・エストラダ委員長)は10日、最低賃金(日給)を全国一律に現行水準より150ペソ引き上げることを盛り込んだ上院法案をわずか1日の審議で承認した。ただし、中小零細企業に対しては一定の比率で徐々に最低賃金を引き上げることを認めるなど一部内容が修正されている。10日の英字紙スター電子版が報じた。
同法案を提出したズビリ上院議長は「われわれは今後2週間ほどで委員会報告書が作成され、6月の国会休会前に同法案が本会議で承認されることを期待している」と述べた。
また、エストラダ上院議員は「事業所が対応できるのであれば、最低賃金を最大200ペソまで引き上げる条項を盛り込む予定だ」と説明、委員会報告書の作成までにさらに詳細な条項が盛り込まれるとの見方を示した。
ただし、同議員は「同法により事業所の閉鎖や経済自体が崩壊するようなことになるのであれば、それは私は許さない」とし、あくまで労働者と経営者の双方の利害のバランスを取る必要があると強調している。
一方、有力財界団体であるフィリピン経営者連合会のフェルディナンド・フェレール会頭は「最低賃金の見直しには賛同する」としながらも「3年半にわたる新型コロナのパンデミックから経営者たちも回復途上にある。最低賃金の引き上げは(現在と同様に)地域賃金生産性委員会を通じて、地域ごとに決められることを希望している」と全国一律で最低賃金を引き上げる現法案について苦言を呈している。(澤田公伸)