フィリピン統計庁は4日、3月のインフレ率が1・8%まで下落したと発表した。前月2月の2・1%からさらに下落し、2020年5月に記録した1・6%以来、約5年ぶりの低水準となった。今年度の政府目標である1・7~2・5%の下限に近い範囲内に納まっている。マルコス政権のインフレ抑制政策が一応功を奏しているようだが、政府の経済担当閣僚らは光熱費や水産物の高騰、米トランプ政権による関税率引き上げの影響などを十分に監視しながらインフレ対策を引き続き実施する必要があると慎重な姿勢を見せている。
3月の食品部門のインフレ率が前月の2・6%から2・3%にさらに下落したほか、非食品部門も前月の1・6%から1・4%にインフレ率が減速している。
食品部門の中でもコメのインフレ率が3月にマイナス7・7%と前月のマイナス4・9%からさらに下落したほか、食肉類も8・8%から同8・2%へ、野菜や調理用バナナなども7・1%から6・9%にそれぞれインフレ率が減速した。
国家経済開発庁のバリサカン長官は4日に声明を出し、「インフレ率が下がり続け、政府の目標値内に納まっているものの、今後、電気代の引き上げと水産物価格の上昇が見込まれており、政府としてはタイムリーで目標を絞った対策を講じるなどリスクや影響をモニターしてゆく」と約束した。
また、米トランプ政権がフィリピンを含む世界中の貿易相手国に対してそれぞれ関税率を引き上げる大統領令を出したことについて、同長官は「影響を注視する」とした上で、「米国の貿易政策の変更の有無にかかわらず、われわれは国民の購買力を守るためにマクロ経済のファンダメンタルズの維持につとめ、既存の貿易協定を最大限生かし、ビジネスのしやすさをさらに改善させるなど可能な努力を続ける」と強調した。
一方、フィリピン気象庁は最近、国内におけるラニーニャ現象の影響が今年は弱まるとの予測を示しており、農業部門の生産が昨年より伸びるとみられている。しかし、政府は農作物の不作も視野に入れており、農作物に対する保険加入を強化するよう農家に対する支援を継続するとしている。
また農務省も最近、国家住宅庁と提携合意を結び、政府系の低価格住宅建設地における安価な農産物の直売所である同省直轄の「カディワストア」の展開を開始するなど、国民の間における安価な農産品の普及に向けても注力する。(澤田公伸)