比に6000億円支援約束 容疑者移送で大統領に謝意
マルコス大統領との会談で岸田首相が比への2年間にわたる6000億円の経済支援を約束
日本を公式訪問中のマルコス大統領と9日に会談した岸田首相が、2024年3月までの2年間に官民でフィリピンのインフラ整備などに6000億円を支援すると約束したことが共同声明で明らかになった。また、広域強盗事件の指示役「ルフィ」とみられる渡辺優樹容疑者ら日本人4人の強制送還が9日までに実現したことについて、首相は会談でフィリピン政府の協力に謝意を示したことも10日までに明らかになった。
9日の首脳会談後に発表された共同声明で、両首脳は、東・南シナ海における中国の進出を念頭に「自由で開かれたインド・太平洋」を含む、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重要との認識を共有していることを再確認した上で、人道支援、災害救援活動の協力強化のために、自衛隊のフィリピン訪問の手続きを簡素化することで合意した。日比両国は防衛・軍関係者の相互訪問を強化・円滑化し、防衛協力をさらに進展させ、防衛装備品に関する協力を強化するとした。今後、フィリピンでの自衛隊員による合同訓練実施など比軍との協力関係がさらに強化されることが予想される。
また、岸田首相は、共同声明で22~23年度に総額6000億円の政府開発援助(ODA)や民間投資を通じ、フィリピンの上位中所得国入りを支援することも約束した。
マルコス大統領は国家安全保障戦略など3文書にかかる岸田首相の説明に感謝し、日本のコミットメントを歓迎することを明らかにするとともに、23年の岸田首相のフィリピン訪問を要請した。これに対して岸田首相が訪問要請を受け入れたと声明で言及されており、23年中に首相が比を訪問する可能性が出てきた。
一方、日本の各紙報道によると、マルコス大統領はルイサ夫人とともに9日に皇居・御所で天皇、皇后両陛下と会見した。宮内庁によると、天皇陛下は、第二次世界大戦にも言及し、「フィリピンでも戦闘が行われ、多くの人たちが犠牲になったのは残念でした」と述べられ、大統領が「戦後、日本との関係は非常に堅固なものになりました」とのやりとりが交わされたという。(澤田公伸)