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12月9日のまにら新聞から

PPP・合弁への開放性が目玉 経済フォーラムで大統領講演

[ 878字|2022.12.9|経済 (economy) ]

大統領「官民連携と合弁企業への開放性が前政権との政策の違い」

第11回アランカダ・フォーラム。手前左がフィリピン日本人商工会議所の嶋田慎一郎会頭=6日、同会議所提供

 フィリピン日本人商工会議所が加盟する外国人商工会議所連合(JFC)は6日、同連合が主催する経済フォーラム「アランカダ」(加速)を開催した。第11回目となる今年のテーマは「改革、再建、回復」。直近2回はオンライン形式だったが、今年は対面形式で実施された。フォーラムにはマルコス大統領のほか、経済閣僚や民間経済人が参加、活発な議論を交わした。

 マルコス大統領は基調講演で、前政権からの経済政策の変更に言及。「官民協力(PPP)や、合弁企業への高い開放性が現政権の経済政策の目玉の一つだ」とし、民間部門が経済開発に中心的役割を果たすことに期待を表明した。

 さらに、比の産業構造について「サービス業に偏っておりアンバランスだ」と指摘し、製造業育成に力を入れる意向を示した。その上で、輸出志向工業化という従来のキャッチアップ型工業化論に対し、「比は1億700万人の国民を擁しており、これからは国内市場に目を向け、市場を開拓していく時期だ」との考えを表明した。

 比の1人あたりの国内総生産(GDP)は2021年時点で3548ドル。1人あたりGDPが3千ドルを超えると自動車や家電といった耐久消費財の需要が加速度的に拡大するといわれており、比では今まさに国内で工業製品需要が急成長する時期に入っている。

 また大統領は、投資を促進し、経済を改革するための重点分野として、再生可能エネルギー移行期間の電力需要に対応する発電所の増設、「グリーンエコノミー」や「ブルーエコノミー」などの持続可能な開発の追求、電気自動車の普及を促進する投資、各種手続きのデジタル化などを挙げ、これらの分野に民間部門にも積極的な参加を促した。

 フィリピン日本人商工会議所の嶋田慎一郎会頭は冒頭挨拶で、「今回はマルコス政権下で初のアランカダ・フォーラム。日本人商工会議所は2010年以来、包摂的経済成長、雇用創出、投資、輸出、インフラ整備、貧困削減を全力で訴えてきた。コロナ下で包摂的成長が阻害されたが、現在成長軌道に乗りつつある」と述べ、経済回復に期待を表明した。(竹下友章)

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