経済閣僚未定で投資家に不安 討論会欠席も影響
当選確実なボンボン氏による次期政権の経済担当閣僚未定で投資家の間に不安が広がる
次期大統領への当選が確実となったボンボン・マルコス元上院議員が16日時点で次期政権の経済担当閣僚を発表していないことで、投資家の間で不安が広がり、株価が続落している。ボンボン氏が主要な大統領候補討論会を全て欠席し、経済政策について質疑から逃れてきたこともその一因となっている。16日の英字紙スター電子版が報じた。
ボンボン氏が勝利を確実にした先週、今年第1四半期の経済成長率が8・3%の高水準を記録したと公表されたにもかかわらず、比総合指数(PSEi)は5・6%下落。週明け16日の終値は1・93%高の6502・12と反発した。
証券会社レジーナキャピタルのアナリスト・アントス氏は「今週のPSEiはボンボン氏がどれだけ早期に次期政権の経済指針を発表できるかにかかっており、6200~6800の幅で推移する」と予想。 6年前の同時期、既に数多くの新閣僚名を発表していたドゥテルテ現大統領と比べると、サラ教育相とアバロス内務自治相以外の新閣僚を発表できていないボンボン氏は、出だしで遅れた格好となっている。
アテネオ大政策研究センターのユシンコ上級研究員は「ドゥテルテ氏は多年にわたる公職の経験で次期閣僚とのコネクションを作っていたが、ボンボン氏は異なる。比較するのは不適切だ」と擁護。しかし、「公職に就いて30年」を売りに選挙戦を戦っていたボンボン氏の人脈のとぼしさを暗に指摘した発言ともなっている。
アテネオ大のランソナ教授は「コロナ禍の悪影響、財政赤字、インフレ圧力の中で、経済政策に関する不確実性が大きいことは深刻な結果をもたらす」と警告した。(竹下友章)