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4月6日のまにら新聞から

「天気晴朗ナレドモ浪高シ」 財務相が経済政策振り返る

[ 1289字|2022.4.6|経済 (economy) ]

財務相が比経済ブリーフィングで講演。現政権の経済政策を「世界と競争できる経済へと見事に舵を切った」と述べ成果を強調

 ドミンゲス財務相は5日、パサイ市で開催された比政府などが主催する「比経済ブリーフィング」で講演を行った。その中で同相は比政府代表として、現政権の経済政策を「内向きだった経済を世界と競争できる経済へと見事に舵を切った」と述べ成果を強調した。

 同相は、日露戦争時の帝国海軍参謀、秋山真之による報告文「本日天気晴朗ナレドモ浪(なみ)高シ」を引用。ドゥテルテ大統領を、連合艦隊を率いロシア帝国バルチック艦隊を撃破した東郷平八郎大将になぞらえ、大統領がコロナ禍やウクライナ危機などの「外発的不確実性」を現政権が巧みに切り抜けているとした。

 ▽税制改革によるコロナ支援

 現政権のコロナ禍対応として同相は、累計3兆ペソの大規模財政出動のほか、新型コロナワクチンの調達のために「世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の協調融資を取り付けた」と指摘。日本人が歴代総裁を務めるADBと、中国政府の世界戦略を担うと目されるAIIBの協調融資の実現を「これはアジア太平洋地域、恐らくは世界で初だ」とした。

 また、コロナ前の2019年は、国家税収対GDP比が16・1%と「過去20年で最高のパフォーマンスとなっていた」と指摘。「加速と内包的成長のための税制改革」(TRAIN)を始めとする税制改革で「4年間累計5046億ペソの増収となった」とした。

 一方、2020年比の国内総生産(GDP)成長率は東南アジア諸国で最低のマイナス9・6を記録したが、これについては「税制改革を断行しなければマイナス13・3%まで落ち込んでいた」との試算を提示し擁護。

 その上で、コロナ禍の財出拡大で政府債務残高対GDP比が拡大したにもかかわらず比の国債が格下げにならなかった点を挙げ、税制改革が世界から評価された証拠とした。

 ▽夢物語が現実に

 また、大統領の大きなレガシー(遺産)として大規模インフラ投資政策「ビルド(建設)、ビルド、ビルド」を挙げ、GDPにおける公共投資の割合を「過去4政権の2倍に当たる5%以上に引き上げた」と説明。今年は5・9%まで上がるとの見通しを示した。

 その上で、就任時「77キロメートルだった国の鉄道総延長が今では1209キロメートルまで拡大した」と述べた。

 さらに現政権下で日本の政府開発援助のもと建設が進むマニラ首都圏地下鉄事業については「日本の寛大な支援があり、かつて夢物語と言われた首都圏の地下鉄が今現実のものになろうとしている」とした。

 19年に成立したコメ自由化法(コメ関税化法)については「保護主義的だったスタンスを転換した結果、政府に3年で466億ペソの関税収入をもたらすとともに、年間100億ペソ規模のコメ農家近代化支援を実施できるようになった」と改革の成果を説明。ほかに、ビジネスに関する行政手続きを短縮する「ビジネス環境改善法」、国民IDシステムの導入、比初の支店のないオンライン銀行「比人海外就労者銀行」(OFバンク)の設立などを現政権の「目覚ましい成果」として挙げた。(竹下友章)

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