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9月8日のまにら新聞から

購買力向上を 所得税体系見直し

[ 740字|2014.9.8|経済 (economy)|新聞論調 ]

 過去17年間、フィリピンの所得税率は見直されていない。一方、物価は年平均8%で上昇しており、17年前と現在の給与が同額だった場合、その人の購買力は6割弱も減ったことを意味している。逆に言えば、1997年に年収50万ペソを得ていた人が、当時の購買力を維持するためには、現在は118万ペソの年収が必要となる計算だ。

 17年前、年収50万ペソと言えば大金持ちだった。だから所得税率は最高の32%が適用された。現在の50万ペソは、17年前の21万ペソ程度の価値しかないのだが、税率は依然32%のままで、所得税16万ペソを納めなければならない。税引き後の手取りは34万ペソ。月額換算では2万8千ペソあまりで、電気代、水道代と食費だけで消えてしまう。

 一方、年収21万ペソの場合の税率は20%。32%の16万ペソとの差額は、良質なコメ40袋分に相当する。5人家族は約3週間でコメ1袋を消費するとされ、40袋は120週間、約2年4カ月分になる。この数字を見るだけで、17年間据え置かれてきた所得税率の引き下げによって、いかに中間層以下の国民を利するかが分かると思う。

 近隣諸国と比べても我が国の所得税率は最高レベルにある。年収50万ペソ(約1万1500ドル)の場合、シンガポールの所得税はゼロ。タイ、マレーシア、ベトナムは10〜20%で、比の32%よりかなり低い。

 高税率と並んで、税金の使い方も問題だ。納税者には、高い税金に見合う恩恵がもたらされるべきなのだが、現実はそうではない。所得税の課税体系を17年間も据え置いた結果は、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内最悪のインフラであり、最高の水道・電気代、最悪の貧困率だ。(5日・スタンダードトゥデー、トニー・ロペス氏)

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