アグノ川かんがい進まず
[ 2330字|社会 (society) ] 有料日本の借款供与表明から5年、アグノ川かんがい事業は活動家殺害事件もからんで棚ざらしのまま
日本政府が二〇〇三年三月、第二十六次対比借款の主要事業としてアグノ川流域統合かんがい事業(ルソン地方パンガシナン州)への資金供与(約百五十二億円)を表明してから五年。比日両国政府は借款協定の締結に至らず、事業は宙に浮いたままだ。その一因は、同事業に反対していた左派系組織幹部の射殺事件が「政治的殺人」ではないかという懸念にあるとされる。比政府当局は「単なる殺人事件」との見方を強める一方で、地元の利権紛争に巻き込まれた疑いは残る。逮捕された男性は公判で黙秘を続けており、真相は見えないままだ。