「大半の従業員は接種完了」「客の接種者カードを確認」 店内・店外飲食開始で期待と不安
首都圏では新防疫制度の下で飲食店での店内・店外飲食が制限付きで再開された
首都圏では新防疫制度の下で16日、レストランなど飲食店での店内・店外飲食が制限付きで再開された。
マカティ市のホテル、ヘラルドスイーツ2階の「はつはな亭」では正午ごろ、比在住の日本人2人が食事をしていた。いずれもワクチン接種を終えたとのこと。同レストランで料理長を務める近藤公一さんによると、店内飲食やワクチン接種の確認の有無に関する問い合わせの連絡や予約客もいる。「うちでは幸いほとんどの従業員がワクチン接種を終えている。市から特別な指示はないが、ルールなので従わなければ、とは思っている」と話した。
政府は9月8日から首都圏を一般防疫地域(GCQ)に緩和することを発表していたが、前夜に突如撤回された。近藤さんの周囲では「大量に仕入れた食材がダメになったという話も聞く」とし「一番困るのはドタキャンなので、それだけはやめてもらいたい」との思いを語った。
ヘラルドスイーツは海外フィリピン人就労者(OFW)や船員にも隔離先を提供してきた。「先週は比に到着したばかりの日本人28人が防疫のため滞在していた。彼らに1日3食を届けることで、何とか続けてこられた」とも明かした。
リトル東京の中庭に面した日本料理店「華」は、防疫中、デリバリーや持ち帰りのサービスは行っていなかったため、この日を待ち望んでいた。華に勤めて12年、スタッフ4人をまとめるアナルー・ブルーサンさん(36)が開店準備をしていた。「私たちはワクチン接種を終えている」とし、客には「接種者カードを確認させてもらうことを考えているが、接種していない人には屋外席を準備する」と述べた。「正直、お客さんをそのように分けるのは気がすすまない」との気持ちも打ち明けた。夜間外出禁止時間が午後10時〜午前4時に縮まったことから、華やその周辺の営業は、午後9時までを予定しているという。
新防疫制度では、レストランなどでの店外飲食客は通常の30%まで、店内は10%まで許可されている。ただし、店内客は新型コロナワクチンの接種者に限られ、接客もワクチン接種した従業員だけが許可されている。(岡田薫)