「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
29度-23度
両替レート
1万円=P3,760
$100=P5860

5月29日のまにら新聞から

厳罰の「防疫法」制定を検討 国民は非協力的と大統領

[ 1040字|2021.5.29|社会 (society) ]

防疫規則違反者が後を絶たないとして大統領「投獄する適切な法制定を検討」

 ドゥテルテ大統領は26日夜の演説で、新型コロナウイルス感染防止に国民の多くが非協力的で、防疫規則違反者が後を絶たないとして「違反者を投獄する適切な法を検討する」と発言。大統領報道官も議会に対して「『防疫法』の制定が必要だ」と促した。28日付英字紙スタンダードが報じた。

 ドゥテルテ大統領は「政府の訴えを無視して感染し、無辜(むこ)の民に広げていくのはひどい犯罪だ」と発言。防疫規則違反者を取り締まる法整備の必要性に言及。ロケ大統領報道官は27日、「厳しい罰則を効果的に科す、他国のような『防疫法』の制定が必要だ」と議会に呼び掛けた。

 大統領府のパネロ首席法律顧問は、防疫規則違反者を取り締まる適切な法がない現状では「重大な過失」の容疑で告発する以外ないとの考えを明らかにしている。これに対して、ロケ報道官は「重大な過失」は「罰金などを前提としたもので、投獄の想定はない。他人に遵守を促す規範としては厳しさが足りない」とも述べた。

 ▽逮捕のガイドライン

 また、28日付英字紙ブレティンによると、ゲバラ司法相は公共の場でのマスクの非着用や不適切な着用を厳重に取り締まり、バランガイ(最小行政区)議長らの逮捕も可能にするガイドラインを含む捜査当局の合同覚書に署名した。来週には内容が発表されるという。

 覚書は大統領が今年4月にマスク非着用者の逮捕や投獄を命じたことをきっかけに作られ、アニョ内務自治相とエレアザール国家警察長官はすでに署名を終えているという。

 中部ルソン地域のクラーク開発公社も27日、クラーク経済特区の公共エリア再開へ向けて、公衆上の健康と安全に違反した者を厳しく罰する独自ガイドラインの導入を始めたと発表した。

 ▽バランガイ議長逮捕を

 ドゥテルテ大統領は26日夜の演説で、リゾート施設などで感染が拡大していることも問題視し、自らの管轄区域で開催されたパーティーを阻止できないバランガイ議長について「職務怠慢だ。真っ先に逮捕せよ」と警察に命令。「私は働けと言ったはずだ。このようなことはしたくないが、お前らが私に強いている。本当に刑務所に送ってやる」と怒りをぶちまけた。

 ケソン市ナグカイサンナヨンでは、今月9〜11日にかけてプールで大規模なパーティーがあり、参加者のうち、少なくとも54人の感染が判明した。ブラカン州などの河川や観光地でも、地元の住民や観光客ら数千人が押し掛け、警察が出動する騒ぎが起きている。(岡田薫)

社会 (society)