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5月22日のまにら新聞から

ワクチン銘柄隠しに批判渦巻く 保健省発表に議員や自治体反発

[ 839字|2021.5.22|社会 (society) ]

接種するワクチンの銘柄を開示しないという保健省の方針に批判相次ぐ

新型コロナ予防接種のため準備された米ファイザー製ワクチンの小瓶=20日、首都圏マリキナ市(EPA=時事)

 新型コロナ予防接種会場で使われるワクチンの銘柄を事前に公表しないとの保健省の方針に対し、上院議員や全国州知事会など自治体首長らから強い反発の声が上がっている。21日付英字紙インクワイアラーが報じた。

 マニラ市で17日、米ファイザー製ワクチンの接種会場に数千人の市民が殺到し、混乱が生じたことを受けて、保健省のカボタヘ次官は19日、緊急使用許可が認められたワクチン7種について「すべて有効であり、どんなワクチンでも通知されたら接種すべきだ。今後、銘柄の発表はしない。接種予定者は自治体指定の接種会場にただ行けばよい」と発言、銘柄を事前公表しない方針を強調。ロケ大統領報道官も20日、「我々にはワクチンのブランドを選ぶことはできない。大統領は入手可能なワクチンで集団免疫を獲得するために銘柄を公表しないよう(内務自治省を通じて)自治体首長らに命じた」と表明した。しかし、保健省や大統領府の発表に対し、強い批判が巻き起こった。

 全国知事会の会長を務めるプレスビテロ・ベラスコ知事(マリンドゥケ州)は「患者への情報開示と同意、ワクチンを拒否する権利は人権の一部だ」とし、銘柄非開示を命じた内務自治省通達に反対する決議を知事会として出す可能性を示唆した。また、首都圏ナボタス市のティアンコ市長も「銘柄を隠すことで人々の間のワクチンへの忌避感情がさらに悪化する」とテレビ番組のインタビューに答えている。

 ホンティベロス議員やラクソン議員ら上院議員も「ワクチンの銘柄隠しが政府の接種事業に対する国民の信頼をさらに低下させる」と懸念を表明した。

 これらの批判を受けて、保健省は20日、会場に集まった接種予定者への事前オリエンテーションで、銘柄を含め接種するワクチンについて情報開示すると、方針を若干変更することを明らかにした。会場で自分の希望するワクチンでないと分かった場合には、直前に接種を拒否することも可能で、その場合は接種予約の順番が後に回されるとしている。(澤田公伸)

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