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7月3日のまにら新聞から

中小零細の卸業者の苦境 防疫で回収進まず破綻の危機

[ 814字|2020.7.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナウイルス対策で防疫措置が延長され、中小零細企業は生き残りの闘いを強いられている。特に中小零細企業の58%を占める卸し・小売り業者がそうだろう。防疫措置で消費が冷え込む一方で、バヤニハン法が失効し家賃や債務返済、光熱費などの支払い義務がのしかかる。専門家によると、防疫措置が7月以降も継続した場合、中小零細企業の最低6割は破綻するという。そうなれば比経済の屋台骨が破壊される。

 危機的状況下、フィリピンでは最高の助け合い精神が発揮される場合もあれば、最悪の精神の発露もある。この状況を利用し値引きや支払勘定の帳消しを要求する輩も多い。実際の例を紹介しよう。ある夫婦は15年前に衛生用品の輸入流通業者として出発し、努力の結果、今では多くの小売店やコンビニ、スーパーなどに独自ブランドで商品を卸す。倹約家で利益はすべて事業資金に回していた。事業は伸び続けたが、ルソン地方に防疫強化措置が実施され事態は一変した。小売大手企業が同措置で会計課を閉鎖したとしてまず支払勘定の清算を拒否した。しかし、この顧客は店を開け続けかなりの収入を得ているのだ。そのうち商品を入れないのならサプライヤーリストから除外すると通知してきた。最大の顧客を失うのを恐れて夫婦は回収の目途なく、自己資金を崩して納入を続けている。6月に2月納入分を回収できたが、今後も同様な回収になるという。

 別の知人の水産物卸業者は有名レストランチェーンからの回収が滞っている。支払いを要求すると「困っている時に支援しないのか」と怒りのメッセージが届きすべての注文がキャンセルされた。別のレストランチェーンは営業中にもかかわらず業者に支払いの7カ月間延期と過去の注文も含め全商品の10%値引きを要求してきたという。レストラン業界も苦しいのは分かる。しかし、中小零細の卸し業界が倒れてしまったら経済自体が立ち行かなくなる。(1日・スター、アンドリュー・マシガン)

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