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6月7日のまにら新聞から

大統領は3年前の公約を守れ 公立教員の給与引き上げ問題

[ 806字|2019.6.7|社会 (society)|新聞論調 ]

 公立学校の教員給与を引き上げるという3年前の公約の実現に向けて大統領は取り組んでいる、とパネロ大統領報道官が声明を出した。しかし、声明では財務、予算管理長官が財源をまだ探しており、「どうやって実現するか見守ろう」と言うのみで、実現がいつになるのか明記していない。同報道官は「大統領の母親が教員だったことを忘れてはならない。大統領の心は教員たちとともにある」として公約を守るつもりだとしている。

 この大統領府声明は、教員組合を母体とする政党、ACTの選出したティニオ下院議員とカストロ下院議員による教員や公務員の給与を引き上げるとした大統領に公約を守るよう求めた訴えに対する反応だった。両議員は大統領が警察や国軍といった制服組の公務員らの給与を引き上げたものの、公立学校教員の給与引き上げはまだ実現していないと批判したのだ。カストロ議員は大統領が教員の給与引き上げ法案を最重要法案に指定し、議会での審議が進むよう「議会を目覚めさせよ」と訴えている。

 同政党によると、教職はもはや家族を養うことが困難な職種だという。公立学校の教員の初任給は現在2万754ペソで、その1階級上の職位でも2万2938ペソだ。独立系シンクタンクのイボン財団が提唱する扶養家族のいる世帯の最低生活賃金2万3660ペソよりも少ない。また、昨年6月にはペルニア国家経済開発庁長官も5人家族が貧困ラインよりもましな生活を営むために必要な夫婦の合計給与額が4万2千ペソと試算されていることを認めているのだ。

 このような状況により、教員たちが3年前のドゥテルテ大統領の公約を実現するよう強く訴えているのを非難することは、誰にもできない。就任後3カ月間で犯罪と汚職をこの国から無くすという大統領の公約も長く実現していないが、今こそ、残りの任期を使ってでも教員たちに自分の公約を守ることが出来たという事実を示すべきだ。(5日・スタンダード)

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