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5月3日のまにら新聞から

歴史に向き合い調和の発信を 新天皇の即位と改元

[ 818字|2019.5.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 日本で新天皇が即位し、改元された。日本の皇室は大和王朝から続く継続性を維持しており、日本社会における伝統的な性格を補強し続けている。男系皇室メンバーによって地位が引き継がれるのもその一つだ。また、日本の経済成長は過去30年それほど伸びていないが、高い生活水準は続くだろう。来年の東京オリンピックに姿を見せるかもしれないリニア新幹線や自動運転車などがたとえなくても、新幹線や地下鉄などの存在はフィリピン人旅行者に両国間の格差を思い知らせるのだ。

 今後起こりえる変化としては、まず人口統計的な傾向がある。日本で現在生まれる新生児の半数は百歳まで生きるとされ、経済や医療分野での対応が急務だ。究極的に日本は外国人移民に門戸を開かざるをえず、仕事中心文化や「外人」に対する悪意ある態度を改める必要に直面している。もう一つの変化は地政学的なものだ。中国が経済的、軍事的大国として台頭し、米国がその存在感を失いつつある。日本は平和憲法を持つが、かつて天皇は第2次世界大戦中に軍国主義の集結点として奉仕したという歴史を持つ。

 日比関係は、外交や貿易、文化交流の分野で今後も改善するだろう。ビザが緩和され多くの比人が京都や富士山に押しかけ、留学や就労する比人も増えている。しかし、日本は歴史の真実と向き合うことも必要となってくる。前天皇は平和の使者として先の大戦で日本が引き起こした被害に「深い後悔の念」を表明してきた。しかし日本政府はマニラ湾沿いにある慰安婦像を撤去させるのに成功している。若者への歴史教育が大切だ。海外留学した初めての天皇として、また登山家であり水資源保護の提唱者である新天皇は環境問題についても取り組むべく、より国民に寄り添い、天皇制を近代化させるよう努力するのではないか。「令和」を迎える日本は今後、自国だけでなく、海外の国々に対しても「美しい調和」の意味を発信してほしい。(2日・インクワイアラー、ギデオン・ラスコ)

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