予算配分とコメカルテル取り締まりを コメ輸入自由化法
国内の多くの農民たちは声には出さないがコメ自由化法を支持している。ほんの一部の者たちが路上でコメ自由化法に反対しているだけだ。そのほとんどが国家食糧庁を通じて長い間、利益を得てきた者たちである。国家食糧庁はかつて国家穀物庁(NGA)と呼ばれ、マルコス政権期に小麦輸入を独占してきた。しかし、コラソン・アキノ政権になってその特権は小麦カルテルの元に戻されたのだ。この小麦輸入独占時代に資金を蓄え、近代的な穀物倉庫施設を建設でき、コメの備蓄体制を整えた。
その時代が去っても、国家食糧庁は政府から別の財源を得られるよう説得できず、債務超過になってしまった。その結果、汚職が蔓延し、コメカルテルの構築も許すようになる。そうして今回のコメ自由化法案の国会通過となってしまった。
食糧庁は今年8月までには庶民に販売するための備蓄米をすべて売り切ってしまうと発表した。コメ輸入反対派は安価なコメの流入で国内コメ農家が1キロ当たり12ペソという採算限度でもコメが売れなくなり、国産米確保が困難となり、そのうち国内のコメ価格が徐々に高騰すると警告している。
しかし問題は、食糧庁がコメ囲い込みや価格操作を監視できていないことにある。政府は穀物産業に従事する1700万人の農家や、雨期に陸稲を耕作する2000万人の農家に対する支援に失敗してきた。農務省は6カ月ごとの備蓄米の放出などを提案しているが、コメ輸入や密輸の影響に比べると効果は薄い。比政府は次の政策を実施すべきだろう。まず、農業近代化を進めるため農業専門家を配置した農民組合や生産者協同組合などの結成を支援する予算執行を行う。そしてさらに銀行融資を通じた農業企業への支援の促進や小規模灌漑ポンプ用の無料配電、およびコメ輸入業者のカルテルや価格操作の取り締まりに取り組むべきだ。(13日・ブレティン、ソニー・ドミンゴ)