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10月5日のまにら新聞から

未来のために何を優先すべきか 来年の教育予算の大幅削減

[ 755字|2018.10.5|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ政権は何を優先すべきか見誤っている。来年の予算案で高等教育委員会の予算が、概算要求の830億ペソから320億ペソも削減されたのだ。予算管理省や省庁間予算調整委員会は、もっと他の省庁予算を削れたはずだ。大統領府報道班などがまさにそうで、他の省庁の旅費や通信費なども削れたはずなのだ。

 同委員会の「学びの助け合い」奨学金プログラムだけでも、今年の42億ペソから30億ペソも減らされている。このプログラムは、親の収入が最低賃金以下という最貧困層の子どもたちのためのものだ。別の「学生財政援助プログラム」などは予算が49億ペソあまりから17億ペソへと最も大幅に縮小された。

 良い教育は、われわれが次世代に残せる最も貴重な遺産のはず。しかし、これほど予算を削減すれば教育サービスの質は低下する。視察とは名ばかりの物見遊山や、誤った情報の拡散に資金を使っても、政府が教育や保健サービスといった貧困層の基本的ニーズに配慮したことにはならない。落ち目の俳優が大統領のイスラエル訪問に公費で同行するより、孤児が奨学金で大学に進学する方がふさわしいのだ。

 政府は、幼稚園の義務教育化や高校の制度変革など、2013年の基礎教育増進法の具体化を始めた時に、財政負担の増加に備えておくべきだった。しかし実際は、教育支出が国内総生産に占める割合は2・45%にすぎず、生徒1人当たりの予算額は同等の経済レベルの国々と比べても低い。政治家らは、国家の最も大切な資源は国民であり、国民は誰でも質の高い教育を受ける権利があると認識すべきだ。

 予算管理省は不必要な旅費や通信費などを削るべきだ。わが国が教育を受けた有能な人材を輩出するために、政府や民間からさらなる投資が必要なのだ。(1日・タイムズ、ティタ・バルデラマ)

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