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8月10日のまにら新聞から

利便性とプライバシーの両立を 国民ID法の制定

[ 761字|2018.8.10|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領が比国民ID法に署名する瞬間まで、個人情報の安全性は絶えず議論となってきた。同法の条項が両院協議会で調整された一週間後、5月下旬に上院が同法を承認。政府が国民一人ひとりの名前、性別、生年月日や住所などの詳細情報を含む国民IDカードを発行するための法整備が整った。政府は顔写真や全ての指紋、虹彩のスキャン画像といった生体認証情報の収集も進めることができる。

 ロケ大統領報道官は、同法を政府のサービス提供改善にむけた現政権の優先事項の一つだとし、その必要性については圧倒的なコンセンサスが形成されているとした。しかし事態はそれほど単純ではない。同法は、市民の安全とプライバシーを脅かすという反対意見を未だ克服しておらず、過去にも二つの政権で成立に失敗している。ラモス政権時には最高裁が違憲判断を下し、アロヨ政権下では統一多目的ID(UMID)システムとしていくつかの政府機関から発行されたが、国民IDとはならなかった。

 今回、ついに我が国で合理化されたIDシステムが運営されることになった。プラスの面は、これまでの様々なIDが一本化されて手続きの利便性が高まることやテロなどの脅威の抑止にもつながることだ。しかし、批判勢力はプライバシーの侵害と市民の自由の制限が懸念されると主張している。

 国民IDは、ベルギー、中国、フランス、ドイツ、韓国、タイなど世界各国で使われていることを想起したい。良いIDシステムは公共サービスの提供とアクセスをより効率的にするという議論であるべきだ。市民が「より良い公共サービス」と「プライバシーの権利」のどちらかを選ばなければならないという議論は間違っている。我々には両方が必要だからだ。議会は、この問題を今度こそきっぱりと解決しなければなるまい。(7日・タイムズ)

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