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12月7日のまにら新聞から

現実を直視せよ 西比海領有権問題

[ 697字|2015.12.7|社会 (society)|新聞論調 ]

 西フィリピン海(南シナ海)領有権問題に関する、国際仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)での比政府の主張に関する口頭弁論が終了した。2016年初めにも予想される判決は「比の立場を支持する内容になる」と楽観的にみている関係者が多い。我が国の弁護団による主張は確固たるものだった。一方、中国は審理への参加を拒否した。

 中国が比の領土を不当に侵略したことは間違いない。しかし、中国に謝罪を強要し、人工島建設など比領海内での不当な開発を中止させることは、我が国を含む世界のどの国もできないだろうという現実がある。

 アキノ大統領やその取り巻き連中は「米国が比を援護してくれる」、もしくは「国連が中国に対して何らかの制裁を加えるだろう」と信じているようだが、これは万が一にも起こり得ない話だ。意見の相違こそあるが、米国は中国との経済関係を重視しているからだ。

 国連を通じた策も不可能だ。安保理の常任理事国である中国は、他国が反対したとしても、拒否権を発動するだろう。また、中国が世界各国と生産的な関係を構築している現状を考慮すれば、総会で策を講じても成功しないだろう。

 仲裁裁判所の判決は、国際社会に対して、「比政府の正しさ」を明らかにするだけだ。実質、何も意味を持たないと言ってよいだろう。現実の世界は、私たちが望んでいるような道義的なものではないし、政治的な正しさが通用するとは限らない。

 長たらしい仲裁手続きは、国民の鬱憤(うっぷん)を晴らしてくれるだろうが、権利や領土を取り返せるわけではない。この深刻な問題を解決するには、腹を割って中国と交渉するしか道はないのだ。(3日・タイムズ)

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