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7月24日のまにら新聞から

違法薬物との「闘い続く」 大統領施政方針演説

大統領、就任後3回目となる施政方針演説で違法薬物の取り締まりを強化する意向示す

[ 1984字|2018.7.24|政治 ]
演説を行うドゥテルテ大統領=23日午後5時半ごろ、首都圏ケソン市の下院議事堂で冨田すみれ子撮影

 ドゥテルテ大統領は23日、就任後3回目となる施政方針演説を行い「違法薬物との闘いの終わりはまだ遠い。過酷で震え上がるほどの闘いになる」と語った。容疑者殺害などで国内外から人権面での批判が根強い取り締まりを継続、治安改善をさらに進める意思を示した。

 演説の冒頭で大統領は「就任から2年経ったが、私には国の難題に対処するという国民との約束がまだ多く残っている」と改革への決意をあらためて強調。強硬な違法薬物取り締まりをめぐって政権批判を重ねる人権団体には「あなたの関心は人権だが、私の関心は人々の生活だ」「私は現在と未来の両方を見ている」などと反論した。

 雇用問題をめぐっては、「ENDO」と呼ばれる雇い止めや違法な派遣労働などを終わらせるため「議会に法整備を求める」と述べた。大統領は5月にENDO規制強化の大統領に署名しているが、労働法そのものの再整備が必要との考えをあらためて示した。

 雇用とともに国民の関心が高いインフレ問題については企業に対し「公正な価格を課してほしい」と物価抑制への協力を求めた。値上がりが続くコメをめぐっては価格カルテルの存在を示唆、コメ業者内に問題があることを指摘した。

 昨年末に議会を通過し、今年1月から施行された税制改革については「人々を置きざりにしない持続的な成長が必要だ」と述べ、税制改革の必要性と貧困層への恩恵を説明した。

 外交については「独立的な政策を維持する」と言明。中国との関係改善は「南シナ海をめぐる比の権益に反しない」と強調した。

 汚染を理由に4月から半年間閉鎖されているボラカイ島など環境問題については、議会に土地利用に関する法を整備すること、地方自治体には環境関連法を順守することを求めた。

 施政方針演説が行われた首都圏ケソン市の下院議事堂周辺ではドゥテルテ政権に抗議する労組や左派系団体がデモをした。ドゥテルテ支持団体もデモもあり、警察発表によると双方で2万人以上が参加した。(森永亨)

 大統領施政方針演説の要旨は以下の通り

 ▽違法薬物戦争は継続

 違法薬物との闘いの終わりはまだ遠い。過酷で震え上がるほどの闘いになる。麻薬がどれだけ人の命を奪い、家族を崩壊させるかを麻薬組織は知っていながら存在し続けている。ヒューマンライツ(人権)に関心を持つ者もいるが、私はヒューマンライブス(人々の生活)に関心がある。私は現在と未来の両方を見ている。

 ▽汚職もなくす

 汚職もなくさなければならない。ビジネスをしやすくする法案も最近、国会で成立したが、(政府の国民に対する)サービスを改善するためには汚職に対する戦いも続ける。

 ▽BBL成立目指す

 ミンダナオは「約束の地」と呼ばれながらマニラ中心主義によって開発が後回しになってきた。バンサモロ基本法(BBL)には様々な意見があるが、イスラム教徒のきょうだいたちが自分たちの運命を憲法の範囲内で決める法的手段を求めることを拒否はできない。私が署名して成立するよう国会に協力を求める。「イスラム国」(IS)のようなテロリストがわが国に再び地歩を築くのを許さない。

 ▽中国との関係改善

 独立的な外交政策は維持する。中国との関係はこれまでになく改善した。お互いの協力により覚せい剤の製造拠点や密輸グループの摘発も進んでいる。しかし、両国の関係が改善したからと言って西フィリピン海(南シナ海)におけるわが国の権益を放棄するわけではない。比中二国間、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)という地域間の交渉、対話を通じた問題解決を目指す。

 ▽ENDO規制さらに

 雇い止めなどENDOの撤廃に向けて大統領令も発令しこれまでに約30万人の正規雇用化を実現した。さらに強力にこの政策を進めるためにはすべてのセクターの協力が必要だが、国会による立法化も重要だ。

 ▽税制改革法案の通過

 人々を置き去りにしない持続的な成長が必要なため税制改革を進めている。すべての国民に快適な生活を平等に享受してもらうため所得税の引き下げを実施したが、さらに年内に税制改革第2弾の法案通過も求める。

 ▽コメ買い占めするな

 コメ価格が上昇しており、国家食糧庁にコメ輸入を通じて国民に配給できるようにしている。コメの価格を左右するカルテルが存在している。流通業者にはコメの買い占めをしないよう求める。インフレを抑えるために企業は公正な価格を課して欲しい。

 ▽連邦制導入と環境問題

 連邦制の導入にも国民の理解を求める。ボラカイ島の環境問題については土地利用の法整備を国会に要請するが、地方自治体は環境関連法で定められた義務を順守せよ。鉱山会社の露天掘り方式の採掘を認めない。環境に配慮した操業をすべきだ。      

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