米国のトランプ大統領が就任と同時に外国に対する援助を見直すため、軍事援助を含むほぼ全ての対外援助を90日間凍結する命令を出したことを受け、フィリピン国軍のパディリャ報道官は28日、「現時点ではわれわれの業務はいつも通りであり、いかなる規模縮小もない」とし、現時点で影響を受けていないことを明らかにした。
米国政府はバイデン政権下の昨年7月、対外有償軍事援助(FMF)を利用して比に対し「世紀に一度の」5億ドル規模の軍事支援を行うと発表している。5億ドルのうち1億2800万ドルは比米防衛協力強化協定(EDCA、2014年締結)によって比国内に建設されている米軍利用可能軍事施設に割り当てられている。対外援助の凍結は軍事援助も含まれるとみられ、現行の米国によるEDCAに基づく軍事施設整備プロジェクトに影響が出る可能性も指摘されている。
同報道官は、「比国軍の立場から言えばわれわれは、比米総合軍事演習『バリカタン』の根拠となる訪問軍協定(VFA)を含め、米国と長期にわたるパートナーシップを持っており、この関係は第1次トランプ政権でも堅固だった。このパートナーシップに基づくプログラムを、今後も前に進めていく」とした。
一方で米国政府の動きに対する評価については、国防省など「ハイレベルの政府機関に委ねる」とした。
▽米空軍司令官EDCA施設訪問
一方、比空軍のカスティーリョ広報担当官は28日、同日に米インド太平洋空軍のケビン・シュナイダー司令官(将軍)が比に到着したと発表。同司令官は3日間の訪問中、米軍の支援を受け整備が進むEDCA施設を複数箇所視察する。
視察先はパンパンガ州のバサ空軍基地、マクタン島のベニト・エブエン空軍基地、パラワン島のアントニオ・バウティスタ空軍基地、カガヤンデオロ州のルンビア空軍基地など。いずれもEDCA施設の中でも整備が進む最初の5カ所に含まれる。南シナ海に面するパラワン島など戦略的重要性を高める基地を含め、比米両軍のさらなる連携強化をにらみ米軍利用施設の整備の進ちょくを確認することが狙いとみられる。
シュナイダー司令官は28日、首都圏ケソン市の国軍本部を表敬。ブラウナー比国軍参謀総長と会談した。両者は会談で両国間の強固で永続的なパートナーシップを強調し、相互に継続的な協力に感謝の意を表明。第2次トランプ政権下でも比米安保協力を維持・継続することを確認した格好だ。(竹下友章)