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12月26日のまにら新聞から

「配備は比の主権問題」 中距離ミサイル巡り比中が火花

[ 1199字|2024.12.26|政治 (politics) ]

テオドロ国防相が「ミサイル持ち込みや調達は中国の干渉を受けることではない」との声明を発表

 米軍が4月から比に持ち込んでいる移動式陸上中距離ミサイル発射システム「タイフォン」を近く調達する予定との比陸軍の発表に対し、中国外務省が「軍拡競争を誘発する」などと反発したことについて、テオドロ国防相は24日、声明を発表し、「合同演習を実施する上での米国の中距離ミサイルのフィリピンへの配備は、完全に正当・合法であり、非難の的にならない」と反論した。さらに、「比はどの国の『ドアステップ』でもない。比の安全保障と防衛に関するいかなる装備品の持ち込みや調達も、比の主権の行使の範囲であり、外国に禁止する権限はない」として、中国を強くけん制した。

 同相は「(中距離ミサイル調達の根拠となる)包括的群島防衛構想(CADC)は独立外交方針に沿い、国益に基づくものであり、特定の国を対象としていない」としながら、「中国共産党が本当に地域の緊張と不安定を低減させる意思があるなら、武力の誇示、挑発行為、内政干渉、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)への違法展開をやめ、国際法に従うべきだ」と注文をつけた。

 さらに、「中国共産党はフィリピンの抑制的な能力構築を批判する一方で、自分は核兵器と弾道ミサイルを増やし、海外の犯罪組織と反政府組織を後援し、自国内で人権を尊重しようとしない」と述べ、南シナ海以外の問題もあわせて批判した。

 ▽テオドロ氏を強く批判

 それに対し、在比中国大使館は25日に反論の声明を発表。「フィリピン国防相は無根拠に中国を中傷し、悪意をもって中国共産党を攻撃している」とした上で、テオドロ氏の声明を「イデオロギー上の偏見に満ち、ブロック間対立と冷戦的発想に基づく不当な非難」とし「強い非難」を表明した。

 さらに「現在の国防相がプロ意識に欠け、ばかげた発言をするのはこれが初めてではない。習慣的に中国と共産党を中傷、攻撃している」とし、「それだけでなく比中軍隊間の接触と交流を個人的に妨害している」と主張。さらに、「同相は『議論と協議は海洋問題の解決に最も役に立たないことだ』と公言している。このような発言は、緊張を対話を通じて緩和するというマルコス大統領の指示にも反する」と批判した。

 その上で、「なぜ、そして誰のために、国防相がこのような非建設的なことをしているのか疑問を持たざるを得ない」とした。中国政府はこれまで、比中対立の裏に米国がいるという疑念を繰り返し示している。

 さらに「われわれの地域に必要なのは平和と繁栄であり、中距離ミサイルと対立ではない」とし、比政府に対し、「地域の諸国民の声を聞き、タイフォンミサイルを直ちに撤去する」よう求めた。

 タイフォンからは弾道弾迎撃ミサイル「スタンダードミサイル6(SM6)」と巡航ミサイル「トマホーク」を発射可能。ルソン北部からだと、SM6は台湾周辺、トマホークは中国本土に届くとみられる。(竹下友章)

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