外国人借地期間99年に延長 上下両院でそれぞれ法案可決
外国人の借地可能期間を99年に延長する法案が上下両院でそれぞれ可決、両院協議会送付へ
フィリピン上院は16日、外国人投資家などによる民間所有地の借地期間を現行の最長75年から99年に延長する法案を可決した。また下院も同様の法案を17日に可決したため、近く両院協議会で最終的な法案のすり合わせが行われる見込み。18日付英字紙インクワイアラーが報じた。
下院ではロムアルデス下院議長やゴンザレス下院副議長らがそれぞれ法案を提出し、3法案を合わせた合同法案が下院本会議で審議された。下院議会の最終決議投票では下院議員175人が承認し、3人が否決、2人が棄権した。
ロムアルデス下院議長は17日、下院で同法案が承認されたことについて、従来の共和国法7652号で外国人による借地期間が最初に50年間にわたり認められ、25年間の更新期間を含めて計75年間にわたり借地期間が付与されているものの、「外国人投資家らはこの借地期間が短すぎると懸念を示してきた」と述べて、新法の施行により外国人投資家への投資誘致がさらに加速するとの見通しを示した。
また、同議長は同法案がマルコス大統領の「合法的な外国資本に対する『オープンドア政策』に合致する」と強調している。
下院法案に基づくと、99年間の借地契約を結ぶ外国人投資家による土地賃貸案件については、比経済区庁や自由港特別経済区などの投資誘致機関が管轄する土地を除き、投資委員会(BOI)による承認を得ることが義務付けられているという。
また、下院法案では賃借人が賃貸人の同意を得た上で、さらに当該土地を第3者に又貸しすることも可能となっている。
一方、同法案の条項に違反した場合の罰金は100万~1000万ペソと定められている。
▽土地の直接所有に等しい
一方、下院法案に反対票を投じたブロサス下院議員(ガブリエラ政党)は「このような長期間にわたる土地賃貸を認めることは外国人による土地の直接所有を認めることに等しい」と強い反対の意を示した。また、同議員は「法案の条項における『私有地』の定義が極めてあいまいだ」とした上で、「これらの抜け道によって外国人投資家が長く望んできた一般のフィリピン人農家が所有する農地や農地改革の受益者に付与される土地が賃貸に出され、外国人が長期にわたり賃借りすることにつながる可能性がある」と懸念を表明した。(澤田公伸)