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11月11日のまにら新聞から

比海域法に大統領が署名 米国は支持、中国反発

[ 1238字|2024.11.11|政治 (politics) ]

マルコス大統領が比海域法に署名、成立。米国は支持、中国は反発しスカボロー礁に領海基線を設定したと発表

比海域法に署名したマルコス大統領=8日、首都圏マニラ市大統領府(大統領府提供)

 マルコス大統領はこのほど、比の主権・主権的権利・管轄権が及ぶ海域を規定する比海域法と、群島航路を指定する比群島航路帯法の2法に署名した。これにより、フィリピンの完全な主権の及ぶ内水、群島水域および領海、通関や出入国管理に関する行政権が及ぶ接続水域、海洋資源や人工物設置に関する主権的権利・管轄権がある排他的経済水域(EEZ)、海底資源に関する権利が及ぶ大陸棚の境界が国内法により規定させた。領海の起点となる基線は2009年の比基線法で定められていたが、新法により、比の権益が及ぶ全ての海域を確定し、海洋権益の主張を国際法に則って強化する。これに対し、米国は支持、中国は抗議と正反対の反応を見せた。

 同法は、南シナ海に関する中国の主張を全面的に退けた2016年の国際仲裁裁判所判断にも準拠した。前政権期にはドゥテルテ前大統領が、同仲裁判断を「ごみ箱行きの紙きれ」と否定したほか、マルコス現大統領も当選前は「裁判にはフィリピンしか参加していなかった」として有効性に疑問を呈していたが、今回法律化されたことで、同仲裁判断が国内の政治的変化によって動じにくい国家的立場として採用された格好だ。

 法文にはノイノイ政権から使用されてきた、南シナ海内で比が権益を有する海域を指す「西フィリピン海」との表記が始めて盛り込まれたほか、フィリピン海で多くの海洋資源が埋蔵すると考えられているベンハム隆起も「フィリピン隆起」の名で法文化された。

 一方、比群島航路帯法は、同法を補完する法律で、1982年国連海洋法条約(UNCLOS)の53条に規定される、群島水域および領海とその上空を通る航路帯および航空路を指定する内容。指定の航路帯・航空路では、全ての船舶・航空機に通航権が認められる。

 指定されたのは、①バタネス諸島南を通るフィリピン海~バリンタン海峡~西フィリピン海航路②セレベス海~シブトゥ水路~スルー海~クヨ東水路~ミンドロ海峡~西フィリピン海航路③セレベス海~バシラン海峡~スルー海~ナスバタ水路~バラバク海峡~西フィリン海海路――の三つ。

 ▽スカボロー周辺に基線

 制定から数時間で中国政府は駐中国フィリピン大使を召喚し外交上の抗議を提出。中国外務省は「「南シナ海仲裁裁判の違法な判断を国内法で固めようとする」と非難。「中国はこれに断固反対し、中国の領土主権と海洋権益を断固として守るため、引き続き法に基づき必要な措置をすべて講じていく」と宣言した。さらに、10日にはサンバレス州沖のパンタグ島(英名スカボロー礁)周辺の領海基線を確定したと発表した。

 米国務省は「フィリピン海域法の制定を支持する」との声明を発表。「同法はUNCLOSおよび2016年仲裁裁判に則った国内法。東南アジアの他の国も同様の法律を制定してきた。同法は比の海洋法をさらに明確にする」とし「米国は南シナ海において国際法を順守する比のリーダーシップを評価する」と述べた。(竹下友章)

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