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「愛は伝染する」がメッセージ ハンセン病患者描く映画「クリオン」

2020/1/3 社会

 年末恒例のメトロマニラ映画祭の一作品「クリオン」は、第二次世界大戦前に比のハンセン病療養所が作られた島に隔離されていた人々の物語だ。作品名のクリオンはパラワン州の島で、1907年、米国植民地政府が同地にハンセン病の患者を隔離する集団居住地(コロニー)を建設した。収容された患者らは、「コロニー(植民地)の中のコロニー(集団居住地)」(劇中のせりふ)で残りの人生を過ごすことを余儀なくされた。

 物語は、幼い頃に病気のため親に捨てられたアナ(イサ・カルサド)、元教師で婚約者に病気を知られることを恐れたディタス(メリル・ソリアノ)、ハンセン病の両親の元に生まれ、居住地の子ども達に英語を教えるドリス(ジャスミン・カーティス・スミス)の3人の女性の人生と友情を中心に進む。

 同作は今回の受賞もなく、完璧な作品とは言えない。それでも共感を持って鑑賞するに値する作品だ。同作が描くのは、社会的排除と科学への無知が結びつき、特定の人々を孤立させたという我々の歴史だ。同時に、人生の喜びを奪われたとしても、人間はレジリエンス(回復力)と信念を持ち続けられることも表現されている。現地を訪ねたプロデューサーらは、不名誉と恐怖の中にあっても勇気と尊厳を持って生きた人々の歴史に心を動かされたという。

 ハンセン病の原因と治療法が発見され、病気への恐怖や偏見はかなり減った。ハンセン病に限らず、無知・無関心はバクテリアよりもずっと速く病気を広げてしまうものだ。しかし、同作の宣伝文句が言うように「愛は伝染する」。この教育的・歴史的・人間的な物語は、当時クリオンに生きた人々への共感を呼び起こすだけでなく、今日の隠された不正義や迫害への意識も高めることにつながるだろう。(1日・インクワイアラー、リナ・ヒメネス=ダビッド)

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