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2013/6/17 社会

 確か6月に入ってからだと記憶するが、南ルソン高速道にかかる陸橋や中央分離帯のあちこちにフィリピンの国旗が飾られ出した。「なぜ」と首を傾け、「あ、そうか」と、「独立記念日」の6月12日が近づいているのに気づくのに少し時間がかかった。1898年のこの日、アギナルド将軍がスペイン軍を破り、カビテ州カウイットで独立を宣言した。327年にも及んだスペインの植民地支配から独立して115回目に当たる今年の記念日には、アキノ大統領ら政府首脳が記念式典に出席した。

 7千からある島々のどこにも国がなかったフィリピンが国として独立するというのは画期的な出来事だったが、アメリカ、スペイン両国はそれを認めず、僅か半年後にフィリピン諸島は米国に移譲されて同国の植民地支配が始まった。それから48年経った1946年7月4日、米国は自国の独立記念日に合わせてフィリピン共和国の独立を認めた。以後、7月4日が「独立記念日」になっていたのだが、マカパガルが大統領だった1964年、スペインから独立した6月12日に再び戻された。

 半世紀近い米国の植民地支配から独立が果たせたのに、同国との仲のよさを強調してか、政府はその日を「比米友好記念日」と名付けた。話がガラリとかわる。この国の著名な著述家で牧師のラピスさんは「フィリピン人のどこが特異なのか」と題する随筆の中で「この国の行事には、はっきりとした始まりと終わりがない。クリスマスは12月25日と限らず、数カ月前に始まり、翌年1月第1週まで続く」と書いている。「独立記念日」が終わって3日過ぎても、高速道路の陸橋で国旗が風に揺れていた。(濱)

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