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ハロハロ

2011/10/31 社会

 東日本大震災以降、茨城県南部のわが家も相次ぐ地震で揺さぶられ続けた。周辺では屋根を修復中の家屋が散見される。ガタが来ていないか。人体には人間ドックがあって簡単にチェックできるが、家屋診断士のような制度は日本では未熟。工務店にでも診断を頼むか。だが向こうは商売だから、ダメージを大げさにして仕事につなげようとするのではないか、と考えてしまう。

 家屋倒壊を防ぐには2階を軽くしておくこと、と新聞で読んだ。寝室はすべて2階にあるから、せめて書籍は階下に、と2階書棚の単行本を次々と下ろし、不要なものは捨てることにした。気になったのは、昔愛読した海外ミステリー名作全集だ。17〜18冊あったはずが貸したまま不明になったりして、10冊残っていた。1960年代の出版で、改めてページを開くと活字が小さすぎてとても読めない。公立図書館や古本屋も引き取らないだろう。

 処置に迷って2カ月以上、廊下に放置していたが、先日、やむなしと重い10冊を収集場所に運んだ。雑誌ならともかく単行本を捨てるなんて。本に世話になったわが世代には想像もできない事態だが、あの大地震後、「文化より安全」という気分が強くなってしまった。ごみ捨て場には他にも単行本が何冊か捨ててあったので、少しほっとした。クロフツの「樽」にもフィルポッツの「赤毛のレドメイン」にもおさらばした。(紀)

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