想像もできないような恐ろしい米中枢部への同時テロが起きて間もなく二週間。報復を宣言した米国の動向に世界中がかたずを飲んで見守っている。果たしていつ、火ぶたが切られるか。
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「アフガン戦争は起きないだろう」という軍事評論家も居る。米国はこれまで対米テロには必ず報復を加えてきた。しかし、今回は対象が国家ではない。相手はつかみ所のないテロ組織である。むしろイスラム世界を引き込んでテロ組織を孤立させ、首謀グループをあぶりだすのが賢明で、軍事圧力はそのためのものではないかといった趣旨だ。
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「眼には眼を」。武力行使が始まれば当面、圧倒的な軍事力でテロは押さえつけられるだろう。しかし、また息を吹き返し、報復合戦が繰り返される恐れがある。「力」に頼ることによってそのじゅ縛に陥ってしまいがちだ。この意見にはくみしたいが、米世論が納得するか。二十日のブッシュ演説は国民にテロせん滅作戦への忍耐を求めて含みが感じられるが。結果は間もなく分かるにしても、パレスチナの地で起きているような陰惨な武力抗争が世界の舞台へ拡大するのは回避したいものだ。(紀)