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1年近く捜索続ける 強制失踪者の父を待つ姉妹

2025/7/5 社会
左からフェリシアさん、ガブリエルさん=24日、宇井日菜撮影

強制失踪被害者とみられるフェリックス・サラべリアさんの娘のフェリシアさんとガブリエルさんが捜索を継続している

ビコール地域アルバイ州タバコ市のフェリックス・サラべリアさん(66)が2024年8月以降、強制失踪とみられる被害を受けて行方不明になっている。サラべリアさんの娘にあたるフェリシア・フェラーさん(36)とガブリエルさん(31)は、公的機関や最高裁判所に対し積極的な調査協力を求め、父を取り戻すための努力をしてきた。強制失踪から1年がたとうとする中、これまでの姉妹の歩みをまにら新聞が取材した。

 サラべリアさんは、先住民族の権利を擁護する活動家として活動を続け、比国内で二つの非営利組織(NPO)の創設と執筆活動に携わった。近年はITコンサルタントとして働きつつ、持続可能な交通手段としての自転車利用の推進や、環境に配慮したごみ処理の提唱を精力的に行っていた。

 サラべリアさんは昨年8月28日午前11時ごろ、軽食堂で昼食をとり自宅に帰る途中、シルバー色の車両がサラべリアさんのそばに停まり、無理やり車に乗せられたという。娘2人は、2日後に左派系人権団体のカラパタンの連絡で父の失踪を知り、防犯カメラの映像を確認したという。誘拐の5日前には友人のジャズミンさんが同様に姿をくらましており、サラべリアさんがカラパタンに報告していた。

 ▽姉妹自ら情報収集

 姉妹はタバコ市から離れた場所で暮らしていたが、失踪から2週間後に同市に集まり、父の失踪に関する情報を探した。2人は昨年9月に4日間かけ、サラべリアさんの自宅が位置するバランガイ事務所やタバコ警察署、市長室を訪問。カトリック司教や比人権委員会の地域事務所も訪ね、情報収集に尽力した。

 10月以降は弁護士の支援を受け、国家機関の地域拠点に対する働きかけを始める。国家警察と比国軍は姉妹に対し、サラべリアさんが両機関に逮捕されていない旨を記載した証明書を発行した。運輸省陸運局(LTO)にも、事件の当該車両の特定のため、調査協力を求めた。

 11月、姉妹は最高裁判所に対し、アンパ―ロ令状(身柄出廷命令)と人身保護令状の発行を求める請願書を提出。これらの令状は、サラべリアさんと家族を保護し、サラべリアさんに関する情報を被請願者に提出させる効力を持つ。加えて、サラべリアさんらの居場所の開示と徹底的な捜索を裁判所に要請した。請願は今年2月に承諾され、申立人の姉妹と被告の警察関係者らに対するヒアリングが行われている。

 ▽絶えず続く強制失踪

 カラパタンが6月23日に発表したプレスリリースによると、マルコス政権下では18人が強制失踪事件にあい、行方不明になっている。2012年には比国内で強制失踪防止法が施行されたものの、活動家の失踪事件が依然として続いている。

 これまでに複数の比国内メディアがニュースを発信し、国内外の活動団体が情報の周知に努めている。ヒアリングは7月まで行われる予定だが、サラべリアさんの居場所は依然として明らかになっていない。

 フェリシアさんは、「私たちは父が無事に、健康な状態で戻ってくると信じている」と話した。また、ガブリエルさんは、「父の行方が分からないまま、10カ月というとても長い月日が経った。誰もこの痛みや不安を経験しないでほしい」と話し、サラべリアさんの帰還を願った。(宇井日菜)

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