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パグアサで放水砲発射 中国海警局船、比船に衝突も

2025/5/26 社会
比公船(右)に放水砲を発射する海警局船=21日、南シナ海パグアサ島付近(比沿岸警備隊公開)

比が実効支配する南シナ海最西端領土のパグアサ島周辺で、中国海警局が比公船に放水砲を発射、衝突し船体を破損させる

中国海警局の巡視船が南シナ海南沙諸島パグアサ島に属する砂州(サンディーケイ)付近の比領海内で、研究者を乗せた比公船に放水砲を発射し、さらに衝突した。それにより比公船の船体が一部損傷した。22日に比政府が公表した。海警局は比船を退けた後、同砂州に上陸した。パグアサ島は比が1971年から実効支配し、現在まで政策移民を入植させている比の最西端領土だが、同島付近で海警局による比公船への放水砲事件が起こったのは初めて。比政府が公表すると、米国はすぐに中国への非難と比への支持を表明、それに中国が反発している。

 漁業水産資源局(BFAR)によると、同局は21日、30メートル級漁業取締船「BRPダトゥサンダイ」「ダトゥパグブアヤ」の2隻に研究チームを同乗させ定期研究活動を実施。同日午前9時13分ごろ、海警局「海警21559」がBRPダトゥサンダイに放水砲を発射し、さらに比船左舷にぶつかった。これにより、比船は左舷前部と煙突を損傷。BFARの声明によると、妨害は海警船だけでなく、中国民兵船によっても行われた。比船はサンプルの採取に成功した。

 ▽米台が比支持

 今回の事件公表後、各国の政府から比への支持の声明を発表。中でも注目されたのは、伝統的に南シナ海の海洋地勢について戦略的あいまい政策をとってきた米国と、1971年までパグアサ島を実効支配していた台湾政府の反応だ。

 カールソン駐比米国大使は22日午後5時26分、X(旧ツイッター)で「サンディーケイ近くでの合法的に活動を行っていた比文民船への攻撃的な行動は、命を危険にさらし、地域の安定を脅かす。われわれは国際法を支持し、同盟国フィリピンと共にある」との声明を投稿した。

 パグアサ島は比本土を構成するパラワン島から約250カイリ離れており、比の排他的経済水域(EEZ)の外。2016年の南シナ海仲裁裁判所判断で同島は、領海を有する岩(高潮高地)であり、サンディーケイはその領海内にあると判断されている。今回の米大使の声明で米国側は、パグアサ島領海内での比公船による科学調査活動を「合法」と認めたことで、同島に対する比の領有権を事実上認めた格好となる。南シナ海問題を分析する研究団体「シーライト」のレイ・モンド代表(米退役空軍大佐)は24日の英字紙スターに寄せた寄稿で「米国の戦略的曖昧政策が終わったことが示された」との見解を発表した。

 一方、台湾外務省は22日午後10時49分にXで声明を発表。「中国海警局による比文民船に対する危険な行動」に「深い懸念」を表明し、「このような威圧は地域の平和を脅かす」とした。その上で、「台湾はフィリピン側に立ち、すべての当事国に自制を促し、紛争の平和的解決に取り組むよう求める」と述べ、領有権争いの相手であるはずの比への支持を明確に打ち出した。

 ▽海警職員砂州に上陸

 中国海警局は22日夜に声明と動画を発表。「比公船2隻が南沙諸島の鉄銭礁(サンディーケイ)付近に不法侵入した。比船は複数にわたる警告を無視して中国船に接近したため、警告のため放水砲を発射した。比船が突然接近したため衝突が発生した。責任は完全に比側にある」と主張した。さらに砂州に上陸した模様も公開。サンディーケイは高潮高地であるため、比政府からしたら「無許可の領土進入」ともなる行為だ。

 中国外務省の毛寧報道官は23日の会見で、「フィリピンは侵害的な挑発行為を直ちに止めるべきであり、そうしなければ中国は断固として対応する」と警告。さらに米国に対し、「フィリピンを利用して南シナ海で騒乱を起こし、平和と静穏を損なわないように勧告する」とけん制した。

 欧州連合(EU)のサントロ大使は22日午後5時25分、Xで「比文民船に対する危険行為」について懸念と、比への支持を表明。オランダのガラエズ大使は午後6時25分、「放水砲の使用と危険操船」に対し懸念を表し、2016年の南シナ海仲裁裁判に関して比への支持を表明した。英国のブフィルス大使は午後7時49分に「中国海警局の危険行為を非難する」と投稿。遠藤和也在比日本国大使は同日午後11時2分に、「比のBFAR船に対する放水砲の発射を含む危険行動」に対し懸念を表明。「自由で開かれたインド太平洋を堅持する」とした。カナダ大使館は23日午前4時36分に「中国の威圧・威嚇行動に対して強く反対する」と投稿。ニュージーランド大使館は午前8時23分に「昨日の比船に対する危険行為は懸念の元となる」と表明。豪州のユー大使は午前9時57分に「中国海警船による危険行為への懸念を比政府と共有する」と投稿した。(竹下友章)

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