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人身売買防止で連携強化 比とカンボジア当局者が会合

2025/5/20 社会

比とカンボジアが詐欺拠点での犯罪強要を目的とした人身売買防止で会合。連携強化を確認

フィリピンとカンボジア両政府の当局者が首都圏マニラ市でこのほど会合を開き、人身売買対策に関する情報共有と防止に向けた連携強化を確認した。とくに、特殊詐欺拠点における「犯罪行為の強要」を目的とした新たな人身売買の形態に対し、両国が協力して対応する必要があるとの認識で一致した。

 今回の会合「地域対話および知見共有会議」は、比司法省(DOJ)が主導する人身取引対策政府間評議会(IACAT)が主催し、カンボジア内務省傘下の人身取引対策国家委員会(NCCT)が協力し開催。マルコス大統領が掲げる「犯罪組織の解体と、弱い立場にある人々の保護、国境の安全確保」という方針に沿った取り組みの一環として出入国管理庁(BI)のビアド長官も出席し、BI幹部とともに、比の国境管理や出国手続きの現状、人身取引防止の取り組みを紹介した。

 比からはほかに、司法省(DOJ)、社会福祉開発省(DSWD)、外務省(DFA)、移民労働者省(DMW)などIACAT構成機関の代表が参加した。

 カンボジア側は、内務省国務長官でNCCT常任副議長を務めるチョウ・ブン・エン氏が代表を務めた。

 会議では、被害者が「詐欺拠点」に誘い込まれ、サイバー犯罪への加担を強いられるケースが急増している現状が取り上げられた。ビアド長官は「犯罪目的の人身売買は、もはや一国だけの問題ではなく国際的な脅威だ」と述べ、「BIは国境警備をさらに強化し、人身売買防止の取り組みに積極的に貢献していく」とした。そのうえで「米国務省の『人身取引に関する報告書』において最上位の『ティア1』国とされるフィリピンは、責任と警戒心をもって対応していく」と強調した。

 また、会議では被害者の保護と社会復帰、国民への啓発活動、国内外の加害者に対する訴追戦略など、包括的な対応の必要性が確認された。両国は今後も情報共有と技術協力を進め、人身取引および越境型組織犯罪の予防・摘発・対処能力を強化していく方針で一致した。

 ▽日本への影響

 一方、2024年6月24日に発表された米国務省の「人身取引に関する報告書」において、日本は「外国人技能実習制度」に代わる新制度「育成就労」の導入に向けた動きを評価された一方、人身売買対策における「最低限の基準を完全には満たしていない」として、4段階評価のうち上から2番目の「ティア2」に据え置かれた。この報告書は01年に米国の国内法に基づいて発表が始まり、対象国が「ティア3」に分類されると、米国からの人道支援や経済協力の一部停止、国際金融機関からの融資制限などが科される可能性がある。これは海外からの投資や国際的信用にも影響を及ぼし、各国政府にとって大きな外交上の課題となっている。

 日本は18年と19年には「ティア1」国とされたが、それ以前の大半の年では「ティア2」に分類され、04年には「監視リスト」に入ったことで「ティア3」への転落が懸念された。

 当時問題視されたのは、いわゆる「興行ビザ」と技能実習制度で、日本政府は法改正により「興行ビザ」の厳格化を実施。技能実習については22年の報告書で「一部が人身取引に該当」と明記され、同年に見直しが古川法相=当時=から表明され、27年4月からは新制度「育成就労」が導入される予定となっている。(青柳一臣)

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