首都圏マニラ市の中華街ビノンドで7日午後、外国人犯罪被害者に特化して国家警察などが支援を提供する枠組み「コミュニティー支援安全協力ネットワーク」(CASSN)の発足式が開かれた。CASSNは、国家警察と中国系比人商工会議所連合会・フィリピン中国商工会議所とのパートナーシップを軸としながら、国軍、内務自治省、司法省、出入国管理庁、国家捜査局、国家警察傘下組織「外国人保護者ネットワーク」(FNKN)が参画する官庁・組織横断的な協力の枠組みだ。
マニラ市ビノンドの中心広場「プラザ・ロレンゾルイス」に新たにポリスボックスが設けられたほか、ケソン市、アンヘレス市、セブ市、バギオ市、ダバオ市にも外国語で対応できる担当職員を配置、窓口を設置する予定だ。
そのほか、誘拐、重大犯罪、被害届、警察への苦情、首都圏警察へのホットラインを開設。ビノンドに新設されたポリスボックスには、日中韓3カ国後対応の様式が用意された。マルビル長官は「ここビノンドでは、中国語の分かる職員が配置される」とした。
式で国家警察のマルビル長官は「フィリピン事情の分からない外国人観光客が犯罪に巻き込まれた際に、アクセスしやすい警察の窓口を提供する」と強調。また、最近続発した外国人誘拐事件にも触れ、「こうした犯罪に対応するため、様々な組織・機関の連帯を促進する」とした。
「中国系経済団体だけでなく、日本や韓国、米国の商工会議所などともパートナーシップを拡大する予定はあるか」とのまにら新聞の質問に、同長官は「そうする必要はない。なぜなら、CASSNはそれらの国民を含む全ての外国人犯罪被害者のためのネットワークとして設立されたからだ」と明言した。
式では、CASSN設立支援に関する「誓約」に各機関・団体の代表が署名。その中には、①文化的な理解があり、アクセスしやすい警察サービスを提供するCASSNの「制度化」への支援②コミュニティー連絡メカニズムを通じた信頼関係の醸成と適時通報の促進③重要警察署への担当官の配備とその訓練の強化④誘拐・強要、嫌がらせといった地元・外国人コミュニティーに悪影響する問題への対応への協力⑤CASSN職員の言語、文化、被害者対応能力に関する継続的な能力構築支援⑥足並みをそろえた安全の取り組みを行うための省庁間・組織間の協力促進⑦包摂的で責任あるコミュニティーへの関与を通じた個人の尊厳、権利、安全の尊重――の7箇条が挙げられた。(竹下友章)