アイミー・マルコス上院議員は27日、今月11日に起きた国際刑事裁判所(ICC)の逮捕令状に基づく比政府によるドゥテルテ前大統領の逮捕とオランダ・ハーグへの移送に関する上院外交委員会における調査について、暫定報告書の内容を記者会見で明らかにした。その中で同議員は比政府による前大統領の逮捕が「事前に準備された逮捕計画であった」ことや「重大な権利侵害にあたる」との結論を示した。28日付英字紙スターが報じた。
アイミー上院議員によると、上院外交委員会の公聴会で、前大統領の逮捕に踏み切った理由として比政府が言及してきた国際刑事警察機構(インターポール)からの「国際手配書」が実際には発出されておらず、ICCから同機構に送られた「未確認の暫定的国際逮捕令状」に基づいて逮捕が実施されたことが明らかになったという。前大統領がマニラ空港で身柄を拘束された際、国家警察の幹部らが国際手配書などを本人に示していないという指摘がされていた。
ただし、専門家の中にはICCからの暫定的国際逮捕令状であっても国際手配書とほぼ同等の効力があるとの見解を示す向きもあるとしている。
暫定報告書では、前大統領が国内裁判所の発出した逮捕状に基づかずに逮捕されたことや逮捕直後に娘のサラ副大統領ら親族による訪問を受ける権利が認められなかったこと、さらに国内裁判所の命令を受けずに本人の意思に反して国外に連行されたことなどが、前大統領の比国民としての権利が侵害されたとみなされるべきとの見解に達したとしている。
一方、レムリヤ内務自治相がネットメディアに対してマルコス大統領とアニョ大統領顧問(国家安全保障担当)の間で前大統領の逮捕実施に向けた計画立案があったことを暴露していることや、国家警察の警官らがICCの逮捕令状の発出よりも前にすでに重要な拠点に配置されていたことなどから、逮捕に向けて事前に計画が練られていたことも同報告書では指摘している。(澤田公伸)