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台風で船舶120隻が座礁や沈没  燃料流出でリゾート汚染の懸念も

2021/12/27 社会
台風22号(比名オデット)の強風で流され漂着した船=19日、ビサヤ地方セブ市で(EPA=時事)

台風22号の強風でビサヤ地方で120隻の船舶が座礁や沈没しその燃料流出によるリゾートを含む周辺の海洋汚染が懸念されている

 国家災害対策本部は26日、クリスマス直前に国内各地に甚大な被災をもたらした台風22号(比名オデット)の死者が378人、行方不明者60人となったことを発表した。26日のネットメディア、ラップラーによると、同本部は全国で電力が回復する時期は2月になるとの見通しを伝えた。

 また、同台風はビサヤ地方の海運業界にも大きなダメージを与えている。海運業者組合によると、同地方だけで貨物船や客船など120隻が座礁・沈没したほか、損傷した船舶の一部から燃料が海に流れ出している。船主たちはこうした船舶からの燃料取り出しを急いでいるが、セブ島周辺のビーチリゾートへも燃料が漂着する可能性が指摘されており、早急な対策が求められている。

 26日の英字紙インクワイアラー電子版によると、ビサヤ地方マンダウエ市のコルテス市長は23日、ドゥテルテ大統領と面談し、セブ州コンソラシオン町にある造船・船舶修理施設から、船舶58隻が台風オデットの強風にあおられてマンダウエ市沿岸のマングローブ繁殖地まで流され、うち3隻がその周辺で沈没・損傷し、燃料流出が懸念されていることを伝えた。ラプラプ市のチャン市長も42隻の船舶が座礁し、うち2隻が沈没、燃料が流出したことを報告した。損傷した船のうち1隻は、ラプラプ市でも著名なリゾートホテルの近くまで流れ着いたという。

 チャン市長は「燃料が完全に流出してしまえば、ラプラプ市の住民たちは生計を失ってしまう」とし、大統領に支援を求めた。大統領は市長らに、比海軍と環境天然資源省が流出した燃料の回収活動を支援する約束をしたという。

 一方、国内最大の海運業者組織であるフィリピン沿岸海運業者組合(PCSA)によると、加盟する海運業者ら所有の船舶700隻超のうち120隻ほどが座礁・沈没するなどした。そのため、船員や船舶修理などの労働者少なくとも千人が職を失ったほか、セブをはじめ被災地への救援物資を運ぶ船舶不足が深刻化しているという。また、各地の港湾施設のダメージも深刻なほか、港に直結する道路も土砂崩れや瓦礫でふさがれるなどしており、流通網の寸断も懸念されている。

 同組合は海事産業庁に支援を求めると同時に、船舶修理などを急ぐため、政府系金融機関に対して返済条件が緩やかなソフトローンを被害を受けた海運業者らに提供するよう求めている。(澤田公伸)

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