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買票行為の横行で選挙は演劇 中間選挙は投票前日に決まる

2019/5/17 社会

 知人によると、選挙前日のきのう、町中の店からホッチキスの芯がなくなっていたという。ホッチキスの芯がなぜ?それは有権者の票を買収する際に配るサンプル投票用紙に現金をホッチキスで留める必要があるからだ。そしてそれらを茶封筒に入れて配る。それで茶封筒も店から消えていたという。

 きょうが中間選挙の投票日だが、投票行為はその前日に終わっている。候補者たち、特に地域の有力一族に所属する者たちは、セブアノ語で「カマン」と呼ばれるまさに「はいずり回って」選挙区を巡り、特殊作戦を繰り広げる。選挙戦のリーダーたちが現金入りの茶封筒の束を持ち、リスト上にある世帯のドアをノックして歩くのだ。それに候補者の一族や信頼できる支援者たちが監視のためについて回ることもある。立候補者の選挙費用の3分の1はこの買票に使われるという。自治体首長選では1人当たりの買票に最低2千ペソが必要だ。

 市・町長や州知事にはインテリジェンス基金というのがあって、監査の入らない予算枠が与えられている。また、3年間の任期中に幽霊職員を雇い、幽霊事業を行う。さらに、「SOP」(標準実施手続き)と遠回しに呼ばれるコミッションも重要な原資だ。自治体の行うインフラ事業では受注した企業が首長らに落札事業費の20%を賄賂として支払う。請負業者がお得意さんだとそれ以上の割合の賄賂が要求され、一応実施される入札手続きはやらせにすぎない。

 また、上下両院選の立候補者たちも、自分の名前がサンプル投票用紙に記載されるよう、この自治体首長選の立候補者たちに資金を提供するのだ。しかし、この買票行為は民主主義に対するいじめ行為だ。また、有権者も資金の出所を知っており、自らのモラル破壊にもつながっている。選挙はきのう終わっている。今日の投票日は、値段の高いばかげた演劇行為のようなものだ。(13日・インクワイアラー、アントニオ・モンタルバン)

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