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つかの間の至福

2010/7/5

新大統領の非現実的公約

アキノ新大統領の就任宣誓式で欠けていたのは厳粛な雰囲気だ。歴史的な式典に水を差すわけではないが、式典の最中の歌や踊りは首都圏ケソン市で新大統領誕生を祝するためのパーティーで予定されるべきだった。

 新しい国の形を造り上げる比国民の意志に関して言えば、変革を望むアキノ支持者の情熱はどれぐらい持ちこたえられるのか。

 マルコス元大統領が戒厳令を発令した時、正直なところ、国民の大半は「規律こそが答えであり、マルコス大統領の指揮下、偉大な国家になるだろう」と歓迎した。しかし、独裁政権による権力の乱用が間もなく始まり、国民は深く失望した。

 マルコス政権を打倒した1986年、人々はアキノ元大統領による国の変革実現に期待を膨らませた。それは国の夜明けの始まりであり、民主主義の実現を抱いた市民が勝利した歴史的瞬間だった。

 それもつかの間、新たな政治の力が乱用され、至福の喜びは消滅した。政府内部には汚職がまん延し、政治的殺人は多発、貧困状態は悪化した。

 新大統領は就任演説で、汚職を撲滅し、国の変革を実現すると公言した。集まった支持者50万人が変革への協力を誓ったとしても、その意志はいつまで続くのか。

 それでも就任宣誓式は新大統領を祝う彼のための日であった。会場が黄色に染まったという事実は、自身の支持者がいる一方、それ以外の国民の信頼を得なければならないことを同時に示した。

 新大統領は演説の中で多くを公約した。実際にはその多くは非現実的で、実現されることはないだろう。

 しばらくは新大統領と支持者を勝利の余韻にひたらせよう。第15代大統領の健闘を望む。(1日・トリビューン)

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