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ハロハロ

2009/1/26 社会

 太平洋戦争後半、比島戦線で優位に立った米軍は一九四五年二月三日、大砲百二十門の援護射撃を受けてマニラ市街戦を展開した。迎え撃つ日本軍は、乗艦を失った海軍の一万六千六百人と陸軍四千三百人。陸戦の経験がない海軍と鉄砲代わりに竹やりを持たされた現地召集の在留邦人らが主体の陸軍で、劣勢は明らか。

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 五九年十月、初めてサンチャゴ要塞を訪れて驚いた。戦後十四年たったというのに、米軍が撃ち込んだ膨大な砲弾の、さびついた破片で地面は赤茶けていた。日本軍の死者は日に日に増えるばかり。例えば二月十六日深夜、リサール公園を横断しようとした百人はサーチライトに照らし出され、一斉射撃を受けて全滅。放置された遺体は膨れあがって異臭を放っていたという。誰もが、日本にいる肉親が陰膳(かげぜん)を供えて無事を祈っていた人たちだ。戦闘が終わった一カ月後、一万人以上が戦死、戦病死した。米軍の死者は千百人だった。

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 市街戦でのマニラ市民の死者は推定十万人にも上った。米軍の「焦土砲撃」だけでなく、日本軍による残虐行為の犠牲者も少なくない。同要塞の憲兵隊本部に連行され、再び生きて門を出た現地の人はいなかったと聞く。私たちの国、日本は戦時中、フィリピンで何をし、何をしなかったのか︱︱。その事実を、戦争を体験した世代からの「遺言」として、若い方々にお伝えしたく、再び「マニラの悲劇」を取り上げた。(濱)

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