国民を不安に陥れているコメ不足問題で、アロヨ大統領とその秘蔵っ子、ヤップ農務長官の二人が行っていることに疑問が多い。二人は当初、コメの供給に問題はないと言明。ところが今になってようやく、二人はコメ供給不足の実態に気づいたのだ。そこで食糧庁は質の悪いコメを含め、外国産米の輸入に躍起となっている。極め付きが大統領とヤップ長官が打ち出した、総額四百三十億ペソの食糧生産振興計画だ。
二人はこれ以上、コメ不足状況を見て見ぬふりをできなくなった。不足問題が起きる以前の一般米の小売価格は一キロ当たり二十四ペソだったが、それが今では三十四ペソに高騰している。食糧庁は急きょ、同一八・二五ペソの政府備蓄米の供出を開始した。とはいえ、長い列に並んで一人が手にできる量は三キロにすぎない。
さらに不可解なのが大統領とヤップ長官が打ち出した民間業者への外国米輸入承認決定で、その内容は優秀な経済学者でも理解不能だ。輸入価格は一キロ当たり三十ペソだが、五〇%の関税が課せられるため輸入米価格は同四十五ペソに跳ね上がる。関税率を引き下げ、輸入米に競争力を付けるべきなのだが、大統領は五〇%の関税を米作計画資金ねん出に向けた不可欠な財源と主張、五〇%を維持している。
これには巧妙なからくりがある。輸入業者が払う関税を一〇%にとどめ、残り四〇%を食糧庁が国税局に支払い、財務省がその後、補助金名目で食糧庁に同じ額を還流させる。その結果、ばかを見るのは輸送・貯蔵費に加え、政府の取り分までも上乗せされ、一キロ当たり五十ペソに跳ね上がった高いコメを買わされる国民だ。 (10日・マラヤ)