最近の日本。ニセ警官まで登場する新手オレオレ詐欺の被害者が急増している。交通事故の示談金や保釈金など警察、裁判所絡みの手口が多いが、複数が電話に登場する「劇場型」も少なくないという。警察庁によると、今年に入っての被害総額は百億円を突破した。被害者は女性が男性の三倍、特に四十代の女性が全体の六五％を占めている。

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　オレオレ詐欺など、よそ事と思っていたら、住んでいる団地管理組合の仲間が被害に遭った。「パパ。交通事故に巻き込まれた。示談金を用意して欲しいの」。娘を名乗る女性からの電話で詐欺劇場は開幕したという。暴力団員、警察、弁護士と称する人物が次々と電話口に出た。信じ込んで指示された通り携帯電話をつなぎっ放しで銀行へ。指定口座に百万円を二回に分けて振り込んだ。

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　「オレオレ詐欺に引っかかるなんて考えられない」。真っ当で世故にも長けた人物だけに、その言葉を受け入れていた。「まさか、彼が」の疑問がぬぐえなかった。しかし電話を掛けてきた女の声を疑う余裕もなかったそうだ。「家族全員の行動を掌握していなかった。家庭にもすきがあった」と悔やんでいた。（富）