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援助パソコン盗難

2004/1/31 社会
ボルトで机に固定されていたため被害を免れた日本政府援助のパソコン本体=タルラック市アルビンディア・アグソ高校で写す

国家警察、援助パソコン本体に書き込んだ「暗号」基に盗品の特定、押収に成功

 ルソン島中部タルラック州の高校から日本政府援助のパソコン類を盗んだとしてフィリピン人男性四人が逮捕された事件では、同州警察本部が窃盗被害を見越してパソコン本体に書き込んでいた「暗号」が盗品特定、押収の決め手となった。また、この高校に贈られた本体二十台のうち、一台はボルトで机に固定されていたため被害を免れており、援助パソコン連続窃盗事件を受けた「苦肉の策」も一定の効果を発揮した。

 四人の侵入したアルビンディア・アグソ高校(同州タルラック市)は、二〇〇三年七月中旬に一回目の被害に遭い、本体十七台とモニター一台を盗まれた。四人は残る本体三台などを狙って〇四年一月十八日に同校に侵入、本体二台とモニター十六台を盗み出したとされる。

 一回目の事件直後、同州警察本部は再発を見越して、「TPPO」(タルラック州警察)という「暗号」を目に付かない場所に記入するようタルラック署に指示。同署はモニター底面などに赤のフェルトペンで暗号を書き込んでいた。

 四人の逮捕は二回目の事件発生からわずか三日後の同月二十一日。「パンパンガ州アンヘレス市内のパソコンショップに一万六千ペソで売り払った」との四人の供述を受け、同署はパソコンショップへ捜査員を急派、店内奥にあったパソコン類から「TPPO」と書かれた本体やモニターを発見した。

 ショップ捜索を指揮した同署第一分署のイメルダ・ドゥライ分署長は「決め手は暗号だった。捜査令状は未取得だったが、学校から事前に入手していた製造番号とも合致したため、ショップ経営者の合意を得た上で押収した」と話す。

 一方、同校側も一回目の事件後、教育省などの指導を受けて、パソコン本体に穴を開けボルトで机に固定する防犯対策を講じた。

 対策は二回目の事件で効果を発揮し、机に固定された本体一台だけは持ち去られなかった。四人組に盗まれた本体二台とモニター十六台は固定する前に被害に遭ってしまったという。

 同校のアルマ・サルボ教諭(40)は「一回目の事件で本体のほとんどを盗まれたので、もう窃盗団は戻ってこないだろうという油断があった。こんなことになるなら残りの本体やモニターも固定しておけばよかった」と悔やむ。

 タルラック署が取り戻した本体二台とモニター十六台は同月二十六日、同校へ返却された。

 しかし、本体二台はハードディスクなど主要部品がほとんど抜き取られており、もうパソコン教育用には使えない状態。また、モニターは「学校に置いておくと、また盗まれるかもしれない。教諭や生徒の父母が手分けして、六月の新学期開始まで自宅で預かることにした」(サルボ教諭)という。

 日本政府の援助事業は「公立高校のためのパソコン・プロジェクト」。第一期(援助総額六億ペソ、〇二年一月・〇三年六月)と第二期(同五億八千四百万ペソ、〇四年・〇五年)合わせて、全国二千百校にパソコン・セット三万一千組が贈られる。

 これら援助パソコンを狙った連続窃盗事件は二〇〇二年一月から〇四年一月にかけ、ルソン島の七州二十四校で発生。国家警察は複数の窃盗団が暗躍しているとみて捜査を進めている。

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