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ジャーマンクラブ

2002/11/17 社会

本場の味、雰囲気で魅了

 九月二十七、二十八日、首都圏タギッグ町フォートボニファシオのグローバルシティで、ドイツの収穫祭「オクトーバーフェスト」が催された。本場ミュンヘン顔負けの、千人を収容する巨大テントが設けられ、生ビール、ソーセージ、生ハム、ザウアークラウトなどドイツの自慢料理が振る舞われた。飲み放題、食べ放題。計千八百人が訪れた。

 ドイツからやってきたバンドが伝統音楽やロックをにぎやかに演奏し、ヨーデル大会なども催され、欧州から遠く離れたマニラで、フィリピンの人々がドイツの祭りを大いに楽しんだ。

 客席の中心に陣取っていたのがジャーマン・クラブの面々。祭りを後援した在比ドイツ人会のメンバーだ。

 マカティ市レガスピビレッジのビル六階にある同クラブを訪れると入り口には「メンバーズ・オンリー」と張り出してある。中に入ると理由が分かった。

 入り口近くの木の床に「ドイチャー・クルブ(ドイツ人会)」と細工文字が刻まれ、分厚いカウンターには生ビールサーバーが付いている。木箱入りの葉巻が売られ、背後の棚には洋酒がずらり。内装や家具、調度品はすべて木造りで、重厚なヨーロッパ調だ。真っ白な布がかけられたダイニングテーブルに、ナプキンが折り畳まれて客を待っていた。ドイツの味を楽しめる会員制レストランバーになっている。

 フィリピン人の支配人、マリビック・サンズさんは、メニューは週替わりで、主にランチを提供しているという。毎月一週間特別メニューが設けられる。十月は日本週間となり、日本大使も招かれたそうだ。

 会員を対象にワインとチーズを楽しむ親ぼく会が定期的に開かれ、識者を招く講演会も月に二回開かれる。非会員も参加できるバザーなども催している。

 同クラブの設立は一九〇六年一月。ドイツ人だけでなく、オーストリア人、スイス人らで組織する「ドイツ語話者の会」が前身だった。マニラ市マラテの住宅を改築し、当初からレストランバーを開店した。現在の会員数は五百二十九人。少しづつ増えているという。入会費は一万三千ペソで、終身会員制。退会時には半額が返還される。

 オクトーバーフェストは同クラブにとって最大の催し。かつては小規模だったが、クラブの現会長がミュンヘンを州都とする祭り好きなバイエルン地方の出身だったことと、主催するマンダリン・オリエンタルホテルの総支配人がオーストリア出身ということで意気投合。昨年から規模を大きく拡大したという。

 人々に開かれた祭りを主催する一方で、やはりドイツ人の会らしい厳格な一面もある。お客さんが食事しているクラブ内の写真を撮りたいと申し出ると、サンズさんは「会員制のクラブですから、それはできません」とつれなかった。(岡本篤)

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