バンサモロ自治政府発足のための選挙が再々延期される可能性が急浮上している。中央選挙管理委員会が17日、来月13日に予定されていたバンサモロ自治政府発足のための選挙に関する全ての準備作業を停止すると決定したためだ。中央選管は、停止措置を最高裁の最終決定が出るまで継続するとしている。
これに先立つ15日、バンサモロイスラム自治地域(BARMM)からのスルー州除外を受け制定された、選挙区割再編に関するバンサモロ自治法(BAA)77号=8月28日制定=に対し、最高裁判所は仮差止命令を出していた。
今回の最高裁の命令は、8月14日からの選挙期間中に選挙区割を変更することが「有権者登録法に違反する」との申し立てを受けて出された。最高裁は選管とバンサモロ暫定統治機構(BTA)に対し、通知から5日以内にコメントを出すよう命じた。
ネットメディア、ラップラーなどによると、17日の決定で選管は、BAA77号の施行の仮差止命令が出たことで、77号による改正の前のBARMM選挙区割法(BAA58号)=昨年2月制定=が「自動的に復活することはない」と判断。「BAA58号、BAA77号ともに事実上無効となった」とした。仮処分の差止命令のため、選管は「裁判所の最終的な決定が下されるまでの間、選管はBARMM選挙区選挙を計画・実施する明確な法的根拠を有していない」と判断した。
BARMM選挙は、問題となっている選挙区選挙だけでなく、比例代表選挙、少数民族や女性などのセクター代表選挙も含まれるが、選管は「このような状況下でいかなる選挙を実施することも、議員定数の不均衡、選挙権の不平等、および選管に対する憲法上の異議申し立てのリスクを招く可能性がある」として、選挙区以外の選挙の実施にも後ろ向きな姿勢を示した。
選管は今後、仮差止命令の適用範囲や、効力を明確にするため訟務長官室と調整を行う予定だ。
バンサモロ自治政府発足の選挙は当初2022年に予定されていたが、コロナ禍の混乱で25年5月に延期。それが昨年9月に最高裁が突然スルー州についてBARMMの構成州ではないとの判断を下したことを受け、10月に再延期されていた。(宇井日菜、竹下友章)