サラ・ドゥテルテ副大統領は17日、ダバオ市で開かれた中間選挙での上院選や下院ダバオ市選挙区、市長選などでドゥテルテ派の立候補者たちが多数当選したことに関する感謝集会に参加した。この集会に際して行われた記者会見でサラ氏は7月30日から上院議会で開催される予定の自身の機密費予算の流用疑惑などに関する弾劾裁判について、弁護団が「エンジン全開で準備にまい進している」とした上で、「自分は血の海を見たいので弾劾裁判を本当に欲していると弁護団に伝えている」と独特な過激な言い回しで裁判参加への意欲を示した。18日付英字紙インクワイアラーが報じた。
副大統領は弾劾裁判について、「無罪になるか有罪になるのか自分では予想できない。どんな判決が出ても受け入れるだけだ」と述べ、上院議員らが裁判官となる弾劾裁判の評決に従う意向を見せた。
また、弾劾裁判で検察役を務める下院議員団(11人)に政党アクバヤンを通じて下院議員となる見込みのチェル・ジョクノ氏とやはり政党リスト制から下院議員に選出されたレイラ・デリマ元上院議員が参加することについて、サラ氏は「十分に理解できる動きだ。デリマ氏などはドゥテルテ大統領が誕生する前から反ドゥテルテだった」と因縁の対決が弾劾裁判にも持ち込まれる構図に一定の理解を示した。
一方、サラ副大統領は今月27日にはカタールのドーハで比人海外就労者(OFW)らで前大統領の支持者らを集めて感謝集会を開き、本人も参加する意向だと明らかにした。また、今月31日にはオランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)で父親が拘束されている拘置施設の前で「前大統領帰国要求デモ」を開催する計画も明らかにした。
ドゥテルテ前大統領が国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状に基づいてマニラ国際空港で逮捕され、オランダのICC拘置施設に収容された際にカタールでは3月下旬に比人OFWらによる抗議集会が行われ、カタール当局によって比人17人が身柄を拘束されている。その後OFW17人は釈放されたが、副大統領はこの逮捕されたOFWらと面会する予定だという。
今月31日に47歳の誕生日を迎えるサラ副大統領は、海外に住むドゥテルテ支持派のOFWらに呼び掛けて世界各地で抗議集会を開催させるなどし、前大統領の帰国要求運動を強めると同時に、自身の弾劾裁判に対するプレッシャーをも国内外から作り出そうとしているようだ。 (澤田公伸)