きょう12日実施の中間選挙に向けて、与党選挙連合「アリャンサ」は9日午後、 首都圏マンダルーヨン市で最終選挙集会を開催した。会場には主催者発表で推計2万2000人が集結。マルコス大統領のほか、ボクシング世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ氏(前上院議員)などアリャンサの公認候補10人が最後の訴えを行った。
来月末に政権の折り返しを迎えるマルコス大統領は「比は世界でも最高水準の成長を記録している」「就任時に高騰していた物価は3月に1・8%にまで落ち着いた」「昨年、失業率は20年で最も低い3・8%を記録した」などと経済パフォーマンスの良さを強調。一方で、2月の出陣式で解禁したドゥテルテ前大統領の超法規的殺害問題などへの「口撃」は封印。マルコス氏への批判が多くを占めたサラ副大統領の最終演説とは対照的なものとなった。
キロ当たり20ペソまで価格を引き下げるとの大統領選公約が実現できていないことで、ドゥテルテ陣営に「うそつき」と非難されるコメ価格問題については、「コメ価格は下がっており、推奨小売価格は順守されている。(公設臨時市場)「カディワ」ではキロ33ペソから43ペソで販売されており、選挙後には貧困世帯、高齢者、障がい者、ひとり親を対象にキロ20ペソでの販売を開始する」と説明した。
また安全保障問題については、「はっきりと言っておきたい。われわれはフィリピンの領土防衛から後退しない。比の領土から利益を得るのは比人だけであるのは明白であり、そのために戦う」と宣言。ドラムの効果音に促され、会場からは声援が上がった。
さらに、「何が起ころうとも、それが誰であろうと、外国軍がどれだけ大きくても、どれだけ強くても、われわれは自国防衛を放棄しない。フィリピン人は引き下がらない、われわれは引き下がらない」と声を強めた。
▽パッキャオ氏「これが最終ラウンド」
2022年の大統領選時にドゥテルテ前大統領とたもとを分かって大統領選に立候補し落選した、ボクシング元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ氏(前上院議員)は、今回はマルコス陣営公認候補として登場。極貧の家庭出身のパッキャオ氏は「私たちがまだ生きている間に、全ての貧しいフィリピン人の人生を助け、彼らの生活を変えるような遺産を作ろう。自分自身で生計を立て、子どもたちを学校に通わせ、皆が成功の機会を持てるようにしよう。それが私がやろうとしていることだ」と訴え、「これが最終ラウンド。だから皆さんにお願いしている」と投票を呼びかけた。
▽カミール・ビリヤール氏の立ち位置
今回の集会には10人の上院候補が参加したが、当初のアリャンサ公認候補は12人。離脱を宣言したマルコス大統領の姉アイミー・マルコス現上院議員だけでなく、公認候補カミール・ビリヤール現下院議員も姿を見せなかった。2人ともサラ氏から推薦を受けた人物だ。
比有数の実業家マニー・ビリヤール氏(元上院議員)の娘であるカミール候補には、選挙期間中に票買収の疑いも降り掛かっていたが、8日までに中央選管は証拠不十分と判断している。
8日にあったドゥテルテ陣営の最終演説でサラ氏はカミール候補に投票することを明言。アリャンサの集会では、ステージの大型スクリーンからは除外され、繰り返し候補者の名前を挙げるMCから名前を呼ばれれることはなかった。一方で、マルコス氏は演説で複数回カミール氏の名前に言及し、壁に貼られているポスターにはカミール候補の写真が含まれるという、微妙な扱いとなった。(竹下友章)